小中学生のネットへの関心は「ゲーム」「漫画・アニメ」「面白フラッシュ」・2ちゃんねる12%、YouTube7%なども
2007年02月04日 12:30
問題のあるコンテンツを閲覧できないようにするURLフィルタリング製品技術の開発や、その技術を最新のものに対応させるためのURLリストの収集や分類、配信を行うフィルタリング会社【ネットスター】は2月1日、小中学生が家庭でインターネットを利用する際の実態調査結果について発表した(【リリース】)。それによると小中学生の大半が保護者の監視外でネットを利用し、ゲームや漫画、アニメなど、娯楽系のコンテンツを大いに好んでいることが明らかになった。
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今調査は2006年12月25日に小中学生を対象にウェブアンケート形式で行われたもので、有効回答数は484件。回答数が微妙なボリュームなため精度にはやや疑問視する向きもあるが、非常に興味深い結果であることに違いない。
保護者からすれば子どもが「問題のある(と思われる)サイト」は閲覧してほしくないものだが、実際にはコドモノ8割近くが保護者の目の行き届かないところでネット利用を楽しんでいる。また、今後はパソコンだけでなく携帯電話やWiiなどの家庭用ゲーム機でもネットへのアクセスが容易になるため、保護者の教育方針次第ではこれらのアクセス端末へのフィルタリングも必要となることだろう。
子どものネットへの興味関心動向として注目される調査結果も出ている。調査対象となった子どもに「どんなウェブサイト」を使っているのかという問いをした結果が次のグラフ。
ウェブサイトの利用について当てはまるもの(複数回答)
「YouTube」は7.2%
(小中学生がよく使うサイト)
保護者の監視下かどうかは別として、子どもがよく利用するサイトは「ゲーム」「漫画、アニメ」「面白いフラッシュ」など娯楽系のサイトが上位を占めている。これらのサイトのコンテンツはたいていが無料で楽しめるので、「ネットには無料で見られる漫画やアニメ、遊べるゲームが用意されている」という認識があるのだろう。また娯楽系サイトとしては他に「雑誌」「占い」「芸能人の情報」などがあり、一般週刊誌を読んでいる感覚でサイトを利用している様子がうかがえる。
一方、「自分のプロフィールを持っている」が13.6%、「自分のホームページやブログを持っている」が12.0%、「壁紙や素材集をよくダウンロードする」が18.8%など、積極的に情報発信をするサイドに位置している子どもも1割から2割程度いることが分かる。
ネットサービスの利用率では、「オークションサイトをよく使っている」が6.0%、「2ちゃんねるをよく見ている」が12.2%、「YouTubeなどの動画共有サイトをよく見ている」が7.2%など、比較的ハイレベルな利用をしている子どもも1割程度いるのが分かる。小・中学生それぞれ別個に計測されたデータではないので、大半は恐らく中学生が大半を占めると思われるが、コンテンツの内容について「珠玉混合選り取りみどり」なこれらのネットサービスをよく利用しているという結果を受けて、気が気ではない保護者も少なく無いだろう。
また、【Yahooきっず】や【キッズgoo】など、子ども向けに用意されたポータルサイトの利用率も高い一方で、通常の大人向けポータルサイトの利用率もかなり高いことが分かる。実際、当サイトのアクセス解析でも(Yahooにはあまり好かれていないようなのでデータとしてはほとんど反映されていないが)キッズgooからは結構ひんぱんに閲覧者が来るようすがうかがえる。子ども向けポータルサイト経由では難しい漢字などに「ふりがな」が自動的に振られるので、非常に便利。また、自宅での利用以外に学校の授業では「子ども向けポータルサイト」の利用が前提となっているので、そこでのクセがそのまま自宅での利用にもつながっているとも考えられる。子ども向け振り分けサイトの有効性が再確認できたのと共に、「大人向けポータルサイト」の利用率も高いことから、(保護者からすれば)通常ポータルサイトから子ども向けサイトへの誘導も検討する必要があると思われる。
これらの(子どもたちにとって)面白サイトはどこから見つけてくるのか。当方の場合はもっぱら掲示板やニュースサイトなどの情報、あるいは検索エンジンによる調査結果からだが、今回の調査でも同様の結果が出ている。
面白いウェブサイトはどのようにして知ったのか(複数回答)
トップは「検索で自分で探して」。どの検索エンジンを用いているのかまでは調査していないが、恐らく前述の調査にもあるように、子ども専用のポータルサイトがメインで、それに続いて一般ポータルサイトで、だろう。「分からないことがあったら検索エンジンで調べる」という思考ロジックのもとに検索エンジンを使いこなしているあたり、ネット社会の浸透が理解できる。
「リアル」からも新しいサイトを
小中学生は見つけ出している
次いで「同学年の友達から教えてもらって」や「雑誌などで読んで」「掲示板やブログで見つけて」と続く。口頭や紙媒体経由、ネット上での書き込みなど情報元・媒体はそれぞれ異なるものの、「口コミ」による興味あるサイトの発見が他人から教えてもらうことで行われているのがわかる。いわば「新しい世界への扉を開ける鍵」を他人に開けてもらい、足を踏み入れるわけだ。
大人がネット上で新しいサイトを見つける場合、検索エンジンを用いて検索する以外は、大抵が情報サイトや掲示板など既存のネット上情報を経由して探し出すもの。雑誌の告知記事や他人から直接の口コミで教えてもらう機会はあまりない。ネット上での住所にあたるURLを覚えきれないというのが最大の理由だ。だからこそ広告でも「●×というキーワードで検索してネ」という、簡単に覚えられる方法で自分のサイトを知ってもらおうとする。
ところが今回の調査結果では、子どもたちは検索エンジンで調べる以外に、友達や雑誌、兄弟や両親、先生など、ネット上で相対する人だけではなく、「リアルな人間」を情報源として積極的に活用しているのが分かる。これを「ネット上での情報収集スキルがまだ鍛錬途中にある」ととるのか、「ネットを道具として使いこなしており、生活の一要素として浸透させている(からネットだけにこだわることなく積極的に現実社会でも情報収集を図ろうとしている)」ととるのかは今回の調査結果だけでは判断が難しい。
今回の調査はあくまでも「子どもが閲覧するには問題があるコンテンツを除外するフィルタリング機能」に関する考察を行うためのもの。とはいえ、現在の小中学生がどのようなネット利用に関する行動パターンを採っているのかがおぼろげながらも分かり、きわめて興味深い内容となっている。
繰り返しになるが、今後はネットが利用できる媒体がパソコン以外にも次々と登場・普及していく。それに伴い、創り手側は子ども「も」閲覧しうることを前提にしたサイト作りを求められることもあるだろうし、保護者側はそれらの媒体が利用されることを考慮する必要が出てくる。また、子どもへ効果的にアピールするにはどのような展開をすれば良いのかという方法論も、今調査結果から推測できるのかもしれない。
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