長崎の「軍艦島」、2008年度から上陸可能に正式決定・予算1億500万円計上
2007年02月22日 07:30
長崎新聞が報じたところによると長崎市は2月20日、長崎港の南西19キロほどの場所に浮かぶ旧海底炭鉱の端島(軍艦島)に観光客らが2008年度から上陸し観光できるよう整備を始めることを明らかにした。
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軍艦島とは長崎市の沖合いに浮かぶ島の通称。島をぐるりと取り囲む堤防が軍艦(さまざまな上部構造物を持つ戦艦)のように見えることから、「軍艦島」と呼ばれるようになった。明治初頭から炭鉱の島として開発され、最盛期には5000人以上の住民がひしめき合っていた。島の内部には電気などのインフラが完備され、教育機関や各種公的機関はもちろん、映画館や体育館、居酒屋などまで揃い、まさに戦艦以上の「密集近代都市」の様相を呈していた。
しかし産業構造の変化から石炭のニーズが減り、1974年には炭鉱が閉山、無人島化。建物の老朽化も進んで人が立ち入るのには危険なため、現在は一般の上陸は禁止され、調査研究などの目的でしか足を踏み入れることができない。
最近では炭鉱産業など当時の産業の姿を知ることができる貴重な遺産(遺跡)として注目を集め、上陸は果たせなくとも軍艦島を船から見る観光コースが人気を呼んでいる。また、【支援サイト】にもあるように、「世界遺産」に登録しようという動きも出ている。
長崎市では1月23日に【世界遺産登録を目指して】において、長崎市とその周辺地域の名所の世界遺産登録を目指すプロジェクトが進行していることが公開されたが、その中に端島炭坑こと「軍艦島」も含まれている。説明には「指定面積63000平方メートル。高島炭坑の一部として本格的な石炭採掘が始められ、佐賀藩、三菱と経営が移り、良質の製鉄用原料炭を産出した。八幡製鉄所の原料炭供給地として,日本の近代化を支えた。現在の外観は大正時代以降のコンクリート建築物により構成されたものである。建築物の保存は行わず、風化の過程を見せることを条件に掲載。」とコメントされている。
市企画部によると、島の周辺部に総延長約700メートルの遊歩道を設け、島内を見学できるようにする。しかし、建造物の補修や維持管理は多額の費用が掛かるため(上記プロジェクトにもあるように)手を付けず、安全面から町中は歩けないとのこと。また、島の南東部にある桟橋を上陸施設として整備し、船を横着けできるようにする。要は「中には入れずに遠回りにぐりると見渡しながら眺める」ようにすることになる。先の報道では「島の内部にも遊歩道を設けて観光ルートを造るため」という予定もあったが、予算の関係と安全面の検討の結果、それはかなわなかったようだ。
3月の長崎市定例市議会に提出する新年度当初予算案に1億500万円が今プロジェクトの予算として計上され、来年度の始動に向けて本格的に作業が進められることになる。
内部への見学が困難と判断されたのは残念だが、それでも間近に軍艦島を眺めることができるようになるのが確実となったことは嬉しいの一言。圧倒的なインパクトを与える軍艦島を目の前で見ることができるようになるのも、もうまもなくだ。
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