新型インフルエンザへの食料品など家庭備蓄品を考察する(1)前書きと事前知識
2007年02月10日 21:00
何度と無く記事で取り上げている、H5N1型をはじめとする鳥インフルエンザによって発生しうるとされている「新型インフルエンザ」に備え、政府や各官庁をはじめさまざまな関係機関が準備を進めている。先日NHKでも啓蒙番組が小特集の形で放送されていた。これを元に、各種情報を付け加えて「食料品をはじめ家庭備蓄品を中心とした、家庭備蓄品」に関するまとめをしてみることにしよう。
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新型インフルエンザとは
【厚生労働省】では【新型インフルエンザ対策関連情報】にまとめページを創り「新型インフルエンザ」について次のように定義している。
インフルエンザは、インフルエンザウイルスに感染することによっておこる病気です。これまでヒトに感染しなかったインフルエンザウイルスがその性質を変え(変異し)、ヒトへと感染するようになり、そしてまたヒトからヒトへと感染するようになるといわゆる新型インフルエンザが出現することになります。
平成15年(2003年)11月以降、タイ、ベトナム、インドネシアなどの東南アジアにおいて、通常ヒトには感染することがない鳥インフルエンザに256人が感染し、これまでに152人の死者がでています(2006年11月1日現在)。これまでのところヒトからヒトへの感染は確認されていませんが、ヒトからヒトへ感染するウイルス(新型インフルエンザウイルス)へと変異し、世界的な流行(パンデミック)の可能性がでてきています。
すでにマスコミで多数に渡り報じられている、ニワトリなどに爆発的な感染力とを持つH5N1型などの鳥インフルエンザ。広義では「スペイン風邪」や「香港風邪」も新型インフルエンザだが、昨今におけるこれは「鳥インフルエンザが変異して、ヒトからヒトにうつるタイプとなったインフルエンザ」である。
なぜ新型インフルエンザが恐れられているのか
先の厚生労働省の専用ページにも詳しい説明がされているが、なぜ「新型インフルエンザが怖い」のかといえば、「仮にヒトからヒトに感染するタイプが発現(新たに生まれ出でる、登場する)した場合、新型であるがため基本的にすべての人間に抵抗力(免疫)が無い」からである。「単なるインフルエンザだから、身体に抵抗力もあるだろうし、インフルエンザワクチンもあるじゃん」というワケにはいかないのだ。
元々「ヒトからヒトにうつるタイプ」が無かったものが、突然変異などで「新型インフルエンザ」として発現すれば、抵抗力のない人間にはあっという間に浸透してしまう。例えるなら、半紙に墨汁を落とすと落ちた場所から周囲にじわじわと浸透していくように。
防御策は無いのか
小松左京氏の小説を映画化した『復活の日』ではないが、まだ発現していないものへ積極的な対抗策(例えば既知のインフルエンザワクチンのような)を創ることは事実上不可能。「ヒトからヒトへ感染する新型インフルエンザ」の存在(と流行)が確認され次第、世界各地の研究機関が積極的対抗策を得るために、研究開発を開始することになる。具体的にはインフルエンザの症状進行を遅らせたり、あるいはやっつける新ワクチンや薬品の開発、その他有効な対処療法の発見などだ。
積極的な対抗策が生み出されるまでは、消極的対抗策を施し、人間自身の自己治癒力に頼りつつ、完治すればそれでよいし、そうでなければワクチンの開発を待つことになる。現在量産が進められているタミフルも、この消極的対抗策の一つ。タミフルは「新型インフルエンザ治療薬」ではなく、「抗インフルエンザ薬」でしかない(ジャンルは少々異なるがHIV関連を類似想定すればよい。発現当初は「人類すべてを滅ぼすのでは」とまで言われていたが、今では進行を遅らせる薬品や対処法も見つかっているし、化学的・民間療法的な面も含めて治療薬も続々研究開発中である)。
医療関係機関や政府では、タミフルの内服や移動制限を行うことで流行の拡大を遅らせ、自己治癒力に任せるか、次の対策(積極的対抗策)に全力を尽くして登場を待つこととしている。
ただ、スペイン風邪や香港風邪をはじめとする過去の「パンデミック」の事例と違い、「発生の可能性が事前に察知できて(今回の場合はタミフルの備蓄など)対応策を事前に行い、備えた上でのパンデミックの到来」はこれまでの歴史上経験が無い。どれほどの効力があるのかはまったくの未知数であると、厚生労働省側でも認めている。もちろんベストを尽くすことには違いない。
■一連の記事:
【新型インフルエンザへの食料品など家庭備蓄品を考察する(1)前書きと事前知識】
【(2)食料品】
【(3)薬品など】
【(4)日用品】
【(5)あとがき・まとめとリンク集】
(最終更新:2013/09/12)
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