自宅で立ち読みし放題・電子ブックを集めた本屋「フリブ」開店中
2007年01月29日 08:30
[ソフトバンク(9984)]の関連会社【イーブック・システムズ】は1月19日、ネット上で雑誌や小説などの電子ブックを無料で読める図書館サイト【フリブ(Flib)】を1月19日にオープンした(【発表リリース】)。現在4カテゴリー、70冊以上の書籍が展開し、無料で閲覧できる。
スポンサードリンク
今回の「フリブ」では、紙媒体の雑誌や書籍をめくって読んでいく感覚(リリースいわく「ページをめくる」「ページをつまむ」「ページをパラパラめくる」)で画面上の本を読める技術「フリップブック(FlipBook)」を用いている専用ブラウザの「FlipViewer」(無料)で、展示する書籍を利用者に閲覧してもらう。この「FlipViewer」がインストールされていない端末には最初に組み込むかどうかを聞いてくるが、表示された案内に従い操作すればものの五分で「電子立ち読み」の準備は整う。
「フリブ」イメージ。図書館の雑誌閲覧コーナーのような雰囲気。各コーナーをクリックすると、その棚が拡大表示され、電子ブックを選択できる。
書籍を選んでダウンロードすると、本当に紙のページをめくっている感覚(ぺらっ、っという紙のめくれる音や紙が少しずつめくれていくアニメーション)で閲覧ができる。「読んでいる」間はキャプチャー系のソフトウェアは使えず、対象書籍がアクティブ化していないと、表示そのものが行われない仕組み。また、記事ごとに違ったBGMが流れたり、インタビュー記事などが動画で楽しめるなど、電子ブックならではの仕組みも施されている。
収録書籍は「雑誌」「小説」「絵本」「総合図書」の4カテゴリ。中には見本誌として、本物の紙媒体の書籍のごく一部のみが掲載されているものもある。また、先に【日本初の無料配布漫画週刊誌「コミック・ガンボ」本日配布開始】で紹介したフリーコミックマガジン「ガンボ」の姿も見受けられるが、「ガンボ」の場合(「ガンボ」が配布時に閲覧してもらう広告を収入源としているビジネスモデルなため)本誌では広告が掲載されているページにはすべてガンボそのものの広告が掲載されているなどの違いがある。
現在は「電子立ち読み」をしてもらい、閲覧をしてもらうことで広告料を各掲載出版社から徴収することでビジネスモデルを構築している。イーブックはこの「フリブ」に掲載するための電子ブックデータ作成ソフトを各出版社に無償で提供し、出版社は1人の購読者あたり3円をイーブック側に支払うのだという。年内には300冊にまで収録書籍を増やし、春先までに30万人のサイト利用者を見込んでいるとのこと。
また、見本誌の大部分はダウンロードができ、オフライン上でも専用ツール「パーソナルライブラリ」上から閲覧ができる。この「パーソナルライブラリ」では、出版社から提供される公開キーや購読URLなどを入力することで書籍データを保存する仕組みが用意されている。これは有料で電子ブックを提供できる仕掛けにも使えることから、将来有料版電子ブックの配布も行われることが容易に想像できる。
「パーソナルライブラリ」。有料購読にも対応。
さらにWindows Vista用には専用のガジェットが用意される。これには電子ブックのダイジェストが掲載され、クリックすると該当ページに飛ぶとのこと。FlipBook Viewerと共に、複数のVista搭載マシンにプレインストールされる。
Windows Vista用には専用のガジェットが用意される
色々閲覧した限りでは、「めくれる」感覚が非常に爽快で大変気持ちよい。ただ、雑誌をめくる際の「まとめてめくる」が出来ず、マウスボタンの連射をする必要があったのが多少気になった。デジタルならではの「ランダムアクセス」ができる仕組みが必要かもしれない。
また、電子ブックを1冊読むたびに新しい「読み込んでいます」ウィンドウが「FlipViewer」とは別に立ち上がるので、だんだんと端末への負荷が高くなり、マルチウィンドウがうざったくなるのが難点。しかし「フリブ」そのものが立ち上がったばかりということもあるので、このような点もじきに解消されていくのだろう。
このような「無料配信型コンテンツビジネス」では、たくさんの質の高いコンテンツを集めて多くのお客を呼び寄せるのが必要不可欠。無料で「フリブ」に雑誌を「納品」する出版社にしても、
●メリット
・知名度が上がる。
・宣伝効果。
・電子ブック内に広告を挿入すれば広告主からの広告収入も得られる。
(「第二の出版」)
●デメリット
・「電子立ち読み」だけで満足する顧客が出るかもしれない。
・色々手は打っているがもし複写されたらどうしようという不安。
・データ化する際の手間。
・権利問題の複雑化。
などのメリットやデメリットがある。これらを両天秤にかけ、「メリットが大きい」=「どんどんデータを納品する」ような状況になるためには、「フリブ」側もコンテンツの厳選やインターフェイスの改良や、(Vistaへのガジェット提供以外の)顧客誘導のためのさまざまな仕組みの構築……例えば宣伝用ブログパーツの展開や先行・限定公開のコンテンツ提供など……が必要になるに違いない。あるいは出版社以外の「納品参加者」を募るのもよいだろう。
今後の「フリブ」の充実や機能改良に期待したいところだ。
(最終更新:2013/08/23)
スポンサードリンク
ツイート