日本初の無料配布漫画週刊誌「コミック・ガンボ」本日配布開始
2007年01月16日 19:35
先に【200ページ超の無料漫画週刊誌「コミック・ガンボ」1月16日創刊・配布量と広告効果が命運を分ける!?】でもお伝えした、日本で初めての無料配布漫画週刊誌【コミック・ガンボ】が本日配布を開始した(【発表リリース、PDF】)。事前告知にもあるように、同時にインターネット上のサイトでも公開を開始し、入手できなかった人、関東エリア以外の人でもその内容を知ることができる。
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残念ながら当方(不破)は創刊号の「コミック・ガンボ」を入手することは適わなかったが、サイト上で閲覧したり、内容について報じていたニュース番組などを観ることができたので、それらを簡単にまとめてみることにする。
「コミック・ガンボ」トップページ。検索エンジンポータルサイトのような体裁。機能も単なる漫画誌のサイト版というのではなく、さまざまな「ネット的仕組み」が施され、驚かされる。
事前告知通り連載されている漫画は公式サイト上でも閲覧可能。閲覧は(自動ロードされる)Flash Viewerで出来る。また、会員登録をすることでさらなるサービスを受けることも可能。この会員登録には無料の「ガンボ会員」と有料(500円/月)の「ガンボプレミアム会員」があり、もちろん後者の方が特典が多い。このあたりのシステムはSNSの【mixi】と同じだ(【説明ページ】)。なお、最新号と前号は無料で読めるが、それ以前の号は有料会員になる必要がある。
SNSといえば、このガンボ公式サイトには専用の掲示板やSNSも用意されている。各掲載作品に対し、一般雑誌なら「●×先生に励ましのお頼りを」というのがそのまま掲示板などで意見として出せるシステム(どのように管理運営規制をしているのかは不明)。各先生方からの返事があるかどうかは分からないが、ある意味「読者参加型ページ」のような体裁を見せてくるかもしれない。さらに作品ごとのチャットルームまで用意されている。漫画を通じたコミュニティの形成の旗振りまでこのサイトでしようとしているのかもしれない。
他にもネーム(漫画のセリフ)をデータ化して注目を集めたり多用されるものを検索エンジンの機能のように「話題のタグ」として表示したり、人気のある漫画のコマをランキング表示するなど、単なる漫画誌のウェブへデータコンバートしただけでなく、インタラクティブ的な要素を多分に含んでおり、非常に興味深い。
なおリリースによると執筆陣は次の通り。他にも多数の漫画家と準備を進めているともコメントされている。
・ 板橋しゅうほう
・ 江川達也
・ 小野広喜
・ 梶川良
・ カネシゲタカシ
・ 木村直巳
・ きりえれいこ
・ 黒岩よしひろ
・ ささいみりか
・ しりあがり寿
・ すねやかずみ
・ 武喜仁
・ 土井泰昭
・ 河承男
・ はまのらま
・ 日高トモキチ
・ 牧野博幸
・ 路みちる
・ 木逢春
・ 村上もとか
・ ヨコシマン
・ 吉田ひろゆき
・ 渡辺電機(株)
・ 足立淳(新人)
・ 岩下はがね(新人)
・ 上野毛あさみ(新人)
・ 司馬亘(新人)
(五十音順)
さて続いて【フジテレビ】のニュースで報じられていた内容を簡単にまとめてみる。
路上での配布は黄色いジャンバーを着たスタッフが行っていた。受け取った人の感想も
「これが無料だったらちょっと驚き」
「ありそうでなかった感じなので画期的」
「普通に面白いんで普通に信じがたい」
「もっと広告が多いかと思ったが、ちゃんとマンガのページが(多くあり)、むしろ普通の本と変わらない」
と好印象のものが多かった。
発行元の【デジマ】の社長で「コミック・ガンボ」編集長でもある甲斐昭彦氏によれば、「自分が好きなマンガであれば、もっと読者も喜んでもらえるし、必ずビジネスとしてもやっていけるのではないかと」コメントしていた。
また、今後の展開について甲斐氏は「連載マンガだから今後ページがたまれば単行本も発行予定」とコメントした。ただしこの単行本が無料かどうかは明らかにされなかった。
「坊ちゃん」を連載する江川達也氏もインタビューに出演しており、いわく
タダでマンガを配っちゃうと……既成のマンガ誌(で)も描いていますからね。マンガ誌がどうなるんだろう?っていうような不思議な気持ちになりましたけどね。(どうなるのか)分からないのでやってみて、面白いっていうか。(今後は)まったく予想がつかないですね。それが楽しみです。
と嬉しそうに答えていた。
さらにあの麻生太郎漫画外務大臣も
「すべてのマンガ雑誌というのはマーケットを見に行けば分かるが、テレビより、よく世論調査・支持調査をしてくれますよ。売れるか売れないか。いいマンガが出来るなら、いいんじゃない」
とまんざらでもないご様子。
既成の漫画誌の代表として電話取材に応じていた【ヤングチャンピオン】の編集長樋口茂氏は
「定価って各社、各誌の問題だと思う。そういう意味で無料というのは一番理想ではないか。動向をしばらく見て、検討していきたいところ」
と微妙な発言をしていた。特に「何を検討」するのが気になるところ。
最後に甲斐編集長は今後の展開について「将来的には男性向けだけでなく女性向け・少年向けの発行も考えている」とコメント。ビジネス的にうまくいけばさらなる展開も期待できる。
番組では最後に代表的な既存雑誌の発行部数(週刊少年ジャンプ:283万9792部、週刊少年マガジン:215万1354部、週刊ヤングジャンプ:100万6875部、ビックコミックスピリッツ:39万4042部、社団法人日本雑誌協会調べ)を挙げつつフリーペーパーとしての漫画誌である「コミック・ガンボ」の今後の展開について語られていたが、キャスターの木村太郎氏は「フリーペーパーで新聞ならスポーツ紙、雑誌ならコミック誌が出たら非常に(既存媒体にとって)脅威であり、フリーペーパーにとっては起爆剤になるといわれていた」と述べ、十分に可能性があるとコメントしていた。
当方(不破)としてはやはり先の記事にあるように、ビジネスモデルが成り立つのかという点に注目している。無料であろうと商業誌である以上、ビジネスが成り立たなければ持続運営はできないからだ。
甲斐氏がはじいたそろばんがうまく計算どおりに推移し、発行部数を伸ばしライバル誌も登場するなどして市場全体が活性化されるのか、それとも「とらぬたぬきの何とやら」になるのか、有料漫画誌の動向もあわせて注意深く、そして期待を胸に抱きつつ注目していきたいところだ。個人的にもこういう「面白ユカイな発想」で「胸ときめかせるような」、そして江川氏ではないが「どうなるんだろう?」という期待感を持たせてくれるモノは大好き。大いに今後の展開が良い方向に向かうよう応援したい。
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(最終更新:2013/08/23)
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