「ネットモール上のポイントは取得時には収入にはならない」!?・国税局へ問い合わせをしてみる

2007年01月11日 20:00

先に【経済産業省、ポイント商法のルール化を模索へ】【アメリカ議会、ネット上の仮想世界へも課税の動き】などで、インターネット上の商店街(ネットモール)や兌換性のあるポイントへの課税についてさまざまな問題が提議されていることをお伝えしてきた。今まで想定しなかった状況が拡大しつつあるのだから、現行の法律ではとらえ難いのは仕方の無い話。さてその一方、当方(不破)自身も春先の確定申告※1に向けて資料やデータの整理を始めたわけだが、一つ気になることが。「楽天市場やアマゾンのポイントって収入なの?」ということ。

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楽天市場やアマゾンで、アンケートに答えたりキャンペーンで購入金額の何%かがポイントで戻ってきたり、あるいはアフィリエイトの成果として入ってきたポイントたち。それ自身は一度ポイント化されてしまうと兌換性(現金との直接交換性)は無い。それぞれの店舗での購入の際に割引ポイントとして使うことができるのみ。

この特性を前提に確定申告でどのように表記すればよいのか考えてみると、色々と疑問がわいてくる。

・ポイントは税務上の「収入」といえるのか
・確定申告時に申告する必要があるのか
・申告義務があるとすればどの時点での収入として申告しなければならないのか


などなど。現金に限らず物品でも取得すれば収入になるわけだが、商品と交換したり割引として使用しない限り価値は確定しないから、ポイントは受け取った時点でなのかそれとも使った時点での収入になるのか。

色々調べてみるとこの問題、先の記事同様に意外と奥が深く、また解釈も千差万別。まったく計上する必要が無いという意見もあれば、ポイントを得た時に雑収入として計算しなければならない、使った時にはじめてその分の雑収入として計上するなどさまざまだ。総合すると「税務署毎の、担当官毎の判断によるところが大きい」とのことらしい。

しかしそれでは手元にある資料やデータの整理にカタがつかない。そこで「税務署で一番偉いのは国税局だろう」ということで、東京にある【国税局局室・税務相談室】に直接問い合わせてみた。

電話に出たのは担当のT氏。状況設定を詳細に説明した上で聞いてみたところ、次のような回答を得ることができた。

回答:
(楽天市場やアマゾンのような)ネットモール上のポイントは、取得した時点では収入に計上する必要は無い。

理由その他:
・ポイントを取得計した段階では対物価値が直接存在、確定するのではなく、単なる割引としてのデータに過ぎない。よってそのポイントは収入にはならない。
・ポイントを行使して初めて価値が発生するが、その場合は収入ではなく支出に考慮させて計上をする。
 つまりポイントを行使して商品を購入した場合には、その商品を税務上経費として申告する時に従来の商品価格ではなく、ポイントを使用した分だけ減らして計上すること。
・例えば1000円の業務上の必需品を300ポイント使って700円で購入した場合、申告の際には「1000円分の事業に必要な物品を買ったので必要経費として計上します」ではなく、「700円(1000-300円)分の事業(以下略)」とすること。


ということだ。要は権利確定主義※2の一種として考えた場合に行き着く結果なのだろう。

なるほどこれなら納得がいく。つまり、必要経費として計上できない一般の物品をポイントで購入した場合には、上記の例なら「ポイントを使用した時点で300円分の収入が発生し、それをそのまま物品購入に使った」ということになるのだろう。事例の場合では按分がなければそのまま経費として結局差っぴかれるから、計算上には現れないわけだ。

もちろん当方は税務関連の資格を持っているわけではないので今回の記事内容に法的な裏づけはないし、解釈自身も税務担当官によって変わる可能性はある。さらに当記事の冒頭で紹介した報道内容にもあるように、ネット上の兌換性のあるポイントに対する税金の問題は非常に流動的で今後どのような(解釈の、あるいは税法上の)変更がなされるか分からない。

心配な人は自分のお世話になる税務署に問い合わせるのが一番だろう。

※1従来なら確定申告をする必要が無い人がほとんどなのだが、収入の高低によっては配当金や医療費などの関係で確定申告(または修正申告)をした方が税金が安くなる場合がある。当方もその一人。ちなみに「高低」の「低」の方であることはいうまでもない。

※2「権利確定主義」とは所得税法第36条1項にある「各種所得の金額の計算上収入金額とすべき金額又は総収入金額に算入すべき金額は、別段の定めがあるものを除き、その年において収入すべき金額とする」に起因するもので、この中の「収入すべき金額」とは「収入すべき権利の”確定した”金額」という解釈が主流である。つまり具体的に請求可能な財産権(今件の場合は購入物品、あるいはその一部)となった時にはじめて収入として計上すべきという考え方となる。

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