【更新】「買取ニュース」+「読者からの評価」=新コンテンツ……ヤフーニュースに読者参加型投票機能搭載

2007年01月11日 12:30

大手新聞社をはじめとする各報道機関からニュースを買い取り、包括的に『ヤフーニュース』として配信している[ヤフー(4689)]。先に【52紙から成る全国新聞ネット、ニュースポータルサイト「47NEWS(よんななニュース)」を12月24日から公開】でも報じたように新聞社などから「お株を奪われている」として、両社間の関係は必ずしもよい状態ではない。報道機関側が独自の包括サイト【47NEWS(よんななニュース)】を立ち上げたこともあり、ヤフー側でも対抗策を打ち出したようだ。その一つが先日から開始された「読者参加型投票機能」の搭載。いわく「ヤフーニュースがニュースです」とのこと(『機能説明ページ』)。

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画面のカスタマイズはこれまで他の新聞社サイトをはじめとする情報サイトやポータルサイトにも搭載されたものだが、ニュースに対する投票機能が目新しいものとして注目される。これはそれぞれのニュースに対し、読者一人一人が「わかりやすい」「詳しい」「興味深い」「誰かに教えたい」「びっくりした」の5項目それぞれについて1から5の段階評価(レーティング)を行い、投票できるというもの。現在は全部のニュースではなく、一部のニュースにのみ行えるようだ。


それぞれの記事の下部に、他の人による投票結果と共に読み手の感想を5項目の点で5段階評価ができる。事前登録は必要なく、完全匿名で行える。

レーティング結果は逐次集計され、それぞれの項目や総合評価の合計がランキング表示される。それぞれの項目において、どの記事が評判なのかがリスト化されている。


レーティング投票によるランキング。

個別記事ごとの単なる評価なら、例えば【ブロガー注目、へぇカウントCGI「he.cgi」公開】のように比較的搭載は可能で個人ベースでのブログでも容易に実装できる。しかしそれらの投票をデータベース化して表組化し、一覧にしてさまざまな視点から眺めるようにし、記事を格付けすることで、新たな価値を生み出すことができる。

一方ヤフーではこれと前後して、一般読者からニュースや情報のリンク先URLを書き込んでもらい、それらのニュースへの投票を行う、俗に言うDIGG形式のサイト[みんなのトピックス]の運用も行っている。これも【newsing】をはじめ最近日本国内でも静かに浸透しつつあるCGM(Consumer Generated Media、利用者が内容を創って行くメディアのこと)の一形式といえる。

ヤフーがニュース配信に関して「読者参加型投票機能」「みんなのトピックス」と相次いで新しい機能を設けたのは、恐らく新聞社連合体による「47NEWS」への対抗意識からくるものだろう。

「47NEWS」はご覧いただければお分かりの通り、各新聞社からの記事の集大成。マップなどを用いたビジュアル展開もあるが、ヤフーやその他のポータルサイトがニュースを買い取って行っているニュースコーナーの上位版といえる。どちらを選ぶか、となれば「47NEWSを」と考える人も多いはずだ※。無茶なたとえかもしれないが「OEM品と本家ブランド品、価格が同じならどちらを選ぶか」と問われるようなもの。ヤフーとしては何らかの手を打ち、「47NEWS」以上のもの、あるいは別なるものを「ヤフーニュース」として送り出さねばならない。

しかし独自取材をするような体制は整っていない(そのようなものがあるのならとうの昔にはじめている)。そこでヤフーでは買い取りニュースに何か付加価値をつけて、独自性を見出そうとした。産経新聞が展開している【iza】のように、「トラックバックも立派なコンテンツです」とのコンセプトもある。一方ヤフーでは読者に投票してもらい、レーティングを作り出すシステムをニュースに組み込み、買い取ったニュースに新たな価値が創造される仕組みを送り出した。

これなら「独自のニュースを取材する」「トラックバックを受け付ける」よりも手間ひまがかからず、メンテナンスや微調整という最低限の労力で新たな価値を生み出す、というより眺めているだけで勝手に生み出されることになる。

この仕組みがどのような方向に向かうか、果たして読者から「十分な価値あり」と判断されるのかどうか、今の段階では分からない。しかし非常に面白い試みとして注目する必要はあるだろう。

……個人的にはこのようなシステムを他のブログシステム(MovableTypeなど)で運営できるようなプラグインやASPなどがあると面白いと思う。投票システムそのものはすでに山ほどフリースクリプトがあるのだから、それらの統計・管理システムと、ブログシステムの連携(記事IDなど)がうまくこなせれば不可能ではないと思われるのだが。

※「47NEWSを」と考える人も多いはずだ
実は「そうではない」と考える向きもある。この点については日を改めて。


(最終更新:2013/08/29)

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