経済産業省、ポイント商法のルール化を模索へ--後編

2007年01月07日 20:15

株式イメージ思考ゲームのような形になってしまった、経済産業省によるポイントのルール策定研究会のニュースを元にしたさまざまな模索の後編。ポイントに対する法律や課税、そして偶然にも先日別件で記事にした、ゲーム内通貨について。

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ポイントに対する法律抵触の可能性と税金

「企業サービスとしてのポイント制度が流動性が一般通貨よりは低い、利用範囲を限定した地域通貨のようなものとして扱われる可能性がある」というのが結論であり、恐らく経済産業省もそれを前提としてルール化を行うのだろう。

では「地域通貨」のようなポイントに課税や法律抵触云々の話は出てくるのだろうか。擬似といっても通貨が流通すれば課税したくなる、あるいは通貨もどきのものは規制したくなるのがお役所の常というもの。まず、法律抵触云々についてだが、該当しそうな法律に「紙幣類似証券取締法」というものがある。この法律では「どこでも」「誰でも」「何にでも」支払いや決済の手段として利用できるものならば「通貨」と見なすので、同法の対象となる(勝手に通貨作ったらいけないヨ、ということ)と定めている。

「どこでも」は利用企業数が増えているので微妙、「何にでも」は企業数が増えれば利用商品数が増えるのでこれも微妙。「誰でも」はポイントそのものは入会していれば誰でも使えるが、ある個人が持っているポイントは暗証番号などを入力しないと利用できないので、「通貨と同等」とは見なされない、ということになると思われる。

他にも「前払い式証票の規制等に関する法律」(プリカ法)もあるが、こちらも微妙だと思われる。要は、昨年流行った言い回しを使いまわすと「グレーゾーン」ということになるだろう。

一方、税金はどうだろうか。こちらは概して地域通貨同様に法人税や所得税、一時・雑所得などが発生するようだが、現在のところポイントによる購入ではあまりその辺は触れられていない。たとえば仮に、ポイント譲与システムで1000万円分のポイントがある人から別の人に譲与された場合、どうなるのか。現金1000万円ならば譲与税が発生するが、ポイントの場合は課税は難しい。

これは税務当局による把握の問題と「そもそもポイントの贈与が贈与税の対象になるのか」という問題の二つが関わってくる。前者は恐らく経済産業省がルール策定の理由の一つとして考えいることだろう。後者は……これも正直、解釈が難しい。金銭以外の物品(例えば資産や権利など)を受け取った場合、それは収入金額と見なされる。しかし「そもそも論」として、「(デジタルデータとしての)ポイントって物品なの?」という、どこかで聞いた議論が巻き起こるわけだ。

また、ポイントを企業から受け取って、そのポイントだけで買い物をした場合はどうなるのか。そのポイントのみ、あるいは一部を使って購入した物品は(計上が可能な物品の場合)経費として申請できるのだろうか。元々割引制度の一環としての意味合いもあるポイントの取得と購入なだけに、さまざまな解釈ができる。

つまり、ポイントに関する他の法律との抵触問題や課税については、正直問題が複雑すぎて「こうである」という断定が出来ない、というのが唯一の結論。多分経済産業省の研究会でももめるに違いない。

ポイントといえば、ゲームの「仮想通貨」は……?

さてここまで話が展開し、ふと気がついた人も多いだろう。そう、先日【アメリカ議会、ネット上の仮想世界へも課税の動き】でも紹介した、アメリカ議会内における、ネット上でのゲーム世界内の擬似通貨への課税問題だ。こちらでは

1.ゲーム内資産にプレイヤーの権利を与えている・換金性が高い場合(『セカンドライフ』)
……擬似通貨として課税対象になる可能性が高い
2.ゲーム内資産はあくまでも運営会社の資産でありプレイヤーは単に借りているだけ・換金性は保障されていない(外部で勝手にやっている)(他の大部分のネットワークゲーム)
……判断が難しい
3.他の問題点
・どの時点で利益と判断するのか。ゲーム内通貨を得た時点か、ゲーム通貨を換金した時点か
・換金場所や換金された現金が多国に渡った場合、どこが課税するのか。サーバーが置かれている場所か、運営会社の所属国家か、換金が行われた場所・会社の所属国家か、現金を取得した人物の属する国か
・現金ではなくゲーム内アイテム、あるいは現実の商品などと交換した場合は課税はどうなるのか
などなど……


などが問題点として挙げられるというまとめだった。今回のポイント問題については、対象が国内に限定されるので国内外に渡る取引については除外するにしても、その他の問題では非常に似通った点を持っていることが分かる。

つまり、「流通場所が限定されている」「流動性が低い」「(ゲームの場合は『セカンドライフ』以外は相対取引による物々交換に限定されるが)何らかの資産の対価として利用される」という共通点を持っている。

今後、経済産業省の研究会でルールが策定され報告されれば、企業間のポイントだけでなく、擬似デジタルマネーの立場を確立しつつある、一部ネットゲームの擬似通貨にもスポットライトがあてられることだろう。

■一連の記事:
【経済産業省、ポイント商法のルール化を模索へ--前編】
【経済産業省、ポイント商法のルール化を模索へ--後編】

(最終更新:2013/08/23)

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