【更新】経済産業省、ポイント商法のルール化を模索へ--前編

2007年01月07日 20:15

株式イメージ[YOMIURI ONLINE]によると【経済産業省】は1月6日、量販店やショッピングモール、航空会社などさまざまな企業が自社利用の特典として設けている「ポイントサービス」システムに関するルール作りを進める方針を明らかにした(経済産業省のサイトには公式発表はない)。近く研究会を発足させ、発行した企業が倒産した場合のポイントの取り扱いや個人情報保護など、広範な角度からルールのあり方を検討する。今年の6月までに報告をまとめる方針だという。

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経済産業省が民間調査機関に委託して調べたところ、少なくとも年間約4500億円に相当するポイントが付加価値として発行されていると推計。しかし経済産業省側では実際には、この2倍を超える1兆円規模のポイントが発行されていると見ている。

発行されるポイントはアマゾンのポイントのように単独企業内で使えるのはもちろん、【ティーポイント】のように【ツタヤ(4756)】【ローソン(2651)】[楽天(4755)]【ピザハット】など多数の企業で共通に使えるようなものもあり、流動性の高い擬似通貨のような役割を果たすものまで出てきている。特に最近ではポイント発行会社がそのポイントの便宜性を高めるために提携関係を強化する傾向にあり、今後ますます「擬似通貨」としての流動性は高くなることだろう。

一方でポイントを発行する企業が倒産した場合などには消費者を保護する法律は無く、何の保障もないまま権利を失ってしまう。ポイントが使えるシステムを利用した段階で企業と利用者の間には任意契約が結ばれるが、例えば証券会社での株式売買における「ほふり」制度のように、業界団体による保障のルール化はない。大抵の規約には「事前の通知無くポイントシステムを終了する場合があります」と記載され「ポイントがいつ無価値になっても文句はいえない」ことになっている。

以上のような現状から、経済産業省では

・商品やサービスと交換できるポイント制度は急速に普及している
・そのポイントは流動性が高く通貨に近い価値を持っている
・流通量も増えているのに消費者を保護する法律が無いのは問題だ
・ポイントの流通動向を調べればマーケティングリサーチに有益だが、個人情報保護の観点で問題がある


などと判断。ルール作成が必要と判断し、今回の決定となったようだ。

現金・ポイント・カード、買うときの違いは?

指摘されてみれば確かに、現金でポイント制度のポイントに変換してカードにデータを入力するシステムはごく当たり前のものになっている。その上で、

・商品を買うのに必要な金額(ポイント)を消費し
・使った金額(ポイント)は自分の資産から差し引かれ
・対価として商品が得られる


という点で見直すと、その店舗なりサイトの取引においては現金とポイントは同一視しても問題ないと判断できる。手渡しでお金を店員に渡すのならともかく、カードで購入したり、ましてやネット上で通販システムを利用した場合、それが現金であるのかポイントであるのかなど、さほど違いはない。

これまでは「いや、現金と同じように使われているかもしれないけど、これはあくまでもうちのお店だけのポイントであって、他のお店では使えないから流動性も低いし、通貨と同じように見られては困りますよ」という主張が企業側にはあったかもしれない。が、それもポイントシステムの便利さをアップするための「ポイントの共有化」が進むにつれて通用しなくなる。

いわば、多企業・コミュニティ間で実際の物品との取引が可能となったポイントは、(利用個所を限定した)地域通貨と同じようなものと見て良いだろう。


■一連の記事:
【経済産業省、ポイント商法のルール化を模索へ--前編】
【経済産業省、ポイント商法のルール化を模索へ--後編】

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