東証、上場にあわせて不正決算に制裁金制度導入の検討開始

2007年01月06日 19:00

株式イメージ【asahi.com】は1月4日、相次ぐ有価証券報告書の虚偽記載騒動を受けて【東京証券取引所】が2009年の上場時と前後して、「虚偽記載をした上場企業に制裁金を科す」方向で検討に入ったと報じた。これまでは改善報告書の提出や注意勧告処分などしかなかった罰則規定に柔軟性がもたれることになる。

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元記事によると制裁金の対象は東証一部企業だけでなく二部、さらには東証マザーズの銘柄も含めた約2400社が対象。不正決算や株主名などの虚偽記載が見つかった場合、訂正報告書の提出を求めるこれまでの処分に加え、制裁金を科す。金額は今後検討課題とする。東証ではこの制裁金制度の導入で、上場企業の緊張感を高め、同時に投資家の信頼回復につなげたい考えとしている。

これまでの規則では、悪質だったり市場への影響が大きい場合は「上場廃止」処分、あるいは市場への注意勧告をする「監理ポスト行き」の対処がとられる。ところがこれらの処分以外は指摘に従い正しく作りなおした「訂正報告書の提出」や「注意勧告処分」しかない。企業側にすれば「オール・オア・ナッシング」に近い処分であり、「重大と見なされるようなものでなければ虚偽記載をしても大丈夫だろう」という雰囲気が、特に新興市場の間で広まっているのは否定できない。

また、上場前に増資先や新株予約権割当先(株式の引渡し先)などから売上や利益を付け替えてもらって上場基準を満たしたり業績優秀に見せかけて高値で上場を果たし、企業そのものや引渡し先が売り抜けた後にそれらの「付け替え利益」を考慮からのぞいた「企業本来の姿」に業績予想を下方修正するという(もちろん株価は暴落する)、いわば「売り逃げ上場」「上場ゴール企業」が増えているのも事実。これらもいわば「有価証券報告書の虚偽記載」そのもの、あるいはそれと同等といえる。

東証としては制裁金の対象にはこのような上場企業も含めるべきだし、そうでなければ真の意味での「投資家の信頼回復」は果たせないだろう。

ちなみに元記事には無いが、東証の制裁金に関して法的根拠はないと思われる。ただ制裁金要請に従わなければ「東証の」規則に従い監理ポスト行き・上場廃止に向けた処理がなされるだけの話。「逮捕されるわけでもないし、制裁金など支払わなくともいいや」という甘い考えは通用しないわけだ。

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