金融相、国内証券取引所再編統合問題に慎重な姿勢、機能強化を求める

2007年01月06日 11:30

株式イメージ先に【国内証券取引所の統合・再編構想浮上、読売報じる】にもあるように一部報道にも報じられた、国内証券取引所の再編問題が議論されていることに対し山本有二金融・再チャレンジ担当相は1月5日、閣議後の記者会見において、「それぞれの証券取引所がさらに交流を深めることは、絶対に大事」とし、一定の理解を示した。しかしその一方で「統合よりは機能の強化をお願いしたい」と述べて、統合構想そのものには慎重な考えを示した。

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これは持ち株会社「日本証券取引所(仮称)」を設立し、傘下に現物や先物などの市場運営会社や、企業の上場審査を行う自主規制会社などを置くスタイルと採るという構想が浮上中であるとするもの。この構想には、日本国内の証券取引所を一本化して市場運営を効率化し、国際的な取引所同士の統合・連携案に備える狙いがある。

今件について山本金融相は「ニューヨーク証券取引所と東京証券取引所が業務提携をしようとする時代に、国内証券取引所がばらばらでやっているのは時代に即応していない」と、証券取引所が多数存在する現状について非効率的であることを指摘。だが今後の各取引所のあり方については「統合より機能強化をお願いしたい。イメージでは、東証のほか、各地に地域リーグがあり、さらにもっとローカルにも小さなマーケットがある。トータルで事業会社を支援できる直接金融のシステムがあり得る」とし、統合案よりも取引所間の連携強化を求めた。

さらに統合案に関する考え方として「統合構想が機能強化という意味であり、取引所が新しい時代に向けた直接金融のあり方について模索し、事業会社と共に支援・補完しあって相互に成長できるのであれば、これは望ましい」とも付け加えている。

今回の金融相の発言により、少なくとも金融庁サイドからは「統合案は難しい」というボールが投げられたことになる。統合構想を推し進めている勢力が今後どのような対応を採るのかが気になるところ。

また、金融相の発言を読み解くと、「地域に密着した、直接金融システムを提供するような取引所が必要である」ということになり、それをサポートするのが東証以外の地方証券取引所であるとも受け取れる。そのような理解であれば、東証と比べて地域証券取引所の上場基準が緩やかなのも仕方ない話。

しかしそれを逆に利用し、新興市場向けのマザーズやJASDAQならともかく、「上場するだけのキツい規定を守ることができないから東証上場は無理。だったら事業とは関係の無い地方証券取引所で上場しちゃおう」という企業が出てくるのは、投資家を無下にしている行為であり、問題であろう。何らかの規制を設けないと本来地域経済活性化のために配慮され、運営されている地方証券取引所が「上場ゴールないんちき企業の溜まり場」と受け止められない。金融庁も「機能強化」を望むなら、このような問題点にも配慮する必要があるに違いない。


(最終更新:2013/08/23)

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