【更新】証券持ち株会社も監督対象に、金融庁検討へ
2007年01月04日 19:30
[読売新聞]は1月4日、【金融庁】が現行の証券取引法では監督対象外である証券グループの持ち株会社を、新たに監督対象に含める方向で検討に入ったと報じた。【日興コーディアルグループ(8603)の不適正決算問題、全面的に認め、監理ポストへ】にもあるように、[日興コーディアルグループ(8603)]の件で金融庁が具体的な処分命令を対象会社に求められなかったのがきっかけ。
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先の記事にもあるように日興コーディアルの件では、証券取引法の対象は登録している証券会社自身に限定され、その証券会社が株式を保有する持ち株会社は監督対象外となる。問題があれば証券会社には「報告命令」にはじまり「業務改善・停止命令」「登録・認可の取り消し」「役員解任命令」まで出すことが可能。
しかし今回のように、証券会社の持ち株会社やその子会社(証券会社からすれば孫会社)には監督規制は行き届かない。監査法人が当初「このような手法でも合法だから問題は無い」と太鼓判を押したのも、証券取引法におけるこのような「抜け道」を知った上での判断と思われる。
実際に今件でも金融庁サイドでは法的な縛りによる、持ち株会社への報告命令を含む「指導」の法的根拠が存在しなかった。これが日興側が当初「1人の社員の過失と隠蔽(いんぺい)である」としらを切ったときにもすぐに手出しが出来なかった理由と元記事では結論づけている。
金融庁では今件を教訓とし、今年夏に証券取引法から本格的に改め施行される金融商品取引法において、法律の改正や政令の制定などで対応できるよう、検討を進めるという。
確かに今件は日興コーディアルの100%子会社である日興プリンシパル・インベストメンツ(NPI)と、そこが100%出資するNPIホールディングス(NPIH)が起こしたものであり、事実上同一視されても仕方の無い関係にあった。にもかかわらず「法的な監督規制はないから何をやっても金融庁から文句は言われないですよ」ということでは、証券業界における法的秩序も何もあったものではないだろう。
本来なら自主規制的な動きや倫理観が働くのだが、今回は残念ながらそれは果たせなかったようだ。結果として(無くても良いはずの)法的規制が強化されても「自業自得」なのだろう。無論他の証券会社にしてみればとんだとばっちりということになるのだが。
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