NHK会長「もう限界だから受信料値下げはムリ」・菅義偉総務相の要請コメントに対し
2007年01月12日 12:30
先に【NHK受信料を2割値下げした上で2008年度から義務化へ・菅義偉総務相】でも報じたように1月10日訪問先のインドネシアで菅義偉総務相が、「NHKの受信料を2008年度から2割前後値下げすることを前提に、支払いを義務化する放送法改正案を提出する」と発言したことに関し、橋本元一NHK会長は「現状では大変厳しい」と否定的な考えであることを記者会見の中で述べた(『参照:ヤフーニュース・読売オンライン』)。
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菅義偉総務相の発言は「支払いを義務化するのと引き換えに、NHK内でも努力していることを示すために受信料を下げろ」という軽い形でのものあり、何らかの根拠を持っているわけではないと思われる。NHKの橋本会長は今件について「(すでに現状において)財政の回復に取り組むなか、放送サービスの充実などを進めている厳しい状況で余力は持ちえない」と語り、現状以上の放送料引き下げは難しいという考えを示した。
具体的には「どのような根拠で受信料の引き下げを言われているのか承知していないのでコメントはできない。しかしこの問題については、今後、意見を申し上げていきたい」と述べ、容易には同意できないとした上で「経費節減などで財政の回復に取り組むなか、放送サービスの充実や地上放送のデジタル化などを進めていかなければならない。そうした厳しい状況で、それ以上の余力は現段階では持ちえない」と語り、これ以上の受信料の引き下げは難しいという考えを示している。
つまりNHK側としては「受信料の義務化については何も述べることはない。しかし受信料値下げは止めてくれ」という主張をしていることになる。受信料の支払い義務化となれば、NHKにしてみれば収益が安定すると喜ぶかもしれない。しかしそれは事実上の「受信料の税金化」となり、同時に「NHKの公的機関・国営放送化になるのか」などの問題が生じることになる。この疑問を先に解決する必要があるだろう。
このままでは、「受信料を払ってほしいのなら、スクランブルをかけて受信料支払い者のみに見せるようにすればいい。公共放送色が強いからそれは駄目だ、でも受信料の支払い義務化は歓迎する・でも国営化はイヤというのなら、童話のコウモリのように『おいしいところをつまみ食いしている』」という非難を受けても反論できないだろう。
(最終更新:2013/08/29)
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