【更新】NHK受信料値下げ問題、橋本会長は「将来的には視野に」
2007年01月27日 08:30
先に【「合理化すれば可能」NHK受信料値下げ問題で総務次官指摘】などで報じているように、菅義偉総務相がNHKに受信料の支払い義務化と引き換えに2割ほどの値下げを要請し、NHK側が反発している件について、NHKの橋本元一会長は1月26日に「値下げは将来的には視野に入れている」とコメントし、受信料の値下げは検討しているという考えを述べた([参照:YOMIURI ONLINE])。ただし「現実に今、2割という数字を実現できる根拠は持っていない」とも語り、具体的な話に及ぶと慎重であいまいな姿勢を示している。
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菅総務相による訪問先での発言をきっかけに始まった、総務省とNHKによる「受信料義務化」「受信料2割値下げ」に関する応酬合戦で、NHK側がはじめて値下げに対して肯定的な意見を述べたことになる。ただし、あくまでも「将来的に」「視野に入れている(考えているのであって必ずやる、というわけではない)」と不確定要素が多く、「値下げはやりたいですね、でもどうなるか分からないですよ?」という程度のニュアンスでしかないとも読み取れる。つまり基本的にはこれまでのスタンスと変わらない。
一方同元記事では菅義偉総務相をはじめとする総務省側のさらなる攻勢についても報じており、それによればNHKあての2007年度収支予算案に「将来の受信料の減額を検討することを求める」との意見案を添付。そして「6000億円の受信料収入に徴収コストが760億円かかっているのは問題だ、業務の抜本的な見直しを早急に検討し、経費削減の数値目標を設定しろ」とNHK側に求めている。
1割以上も徴収コストがかかることも驚きだが、総務省側が求めている外務委託などの業務改善を行えば、このコストはかなり削れるはず。いまだに殿様商売を気取り、のらりくらりと追求を交わして受信料の事実上の税金化のみを求めていると思われても仕方のないNHK側に、総務省がどのような手を打つのか。まだしばらくは両者の、周囲を巻き込んだ駆け引きが続くことだろう。
最後に、いつもの図式更新版を。
「2割値下げで2008年度から受信料支払い義務化」(1月11日、菅総務相)
↓
「もう限界だから受信料値下げは無理」(1月12日、NHK会長)
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「合理化すれば値下げは可能」(1月16日、総務次官)
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「今の受信料のままでは国民が許さない」(1月17日、菅総務相)
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「支払いを義務化しても受信料がすぐに増えるわけではない」(1月17日、NHK経営委員長)
「状況を見極めたうえでお答えせざるを得ない」(1月17日、NHK橋本会長)
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「きちんと説明できる態勢作りをしろ」(1月17日、菅総務相)
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「値下げはすべきだが受信料義務化で契約者数が増えてから」(1月18日、民放連会長)
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「徴収コストがかかりすぎ。抜本的な見直しをして数値目標を設定しろ」(1月26日、菅総務相)
↓
「値下げは将来的にはしたい。でも分からない。具体的な数字は挙げられない」(1月26日、NHK橋本会長)←現在ここ
(最終更新:2013/08/23)
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