EUで過剰生産のワインをバイオエタノールに転用、その量6856万リットル
2007年01月06日 11:30
【Fuji Sankei Business-i】によると、世界最大のワイン生産地であり同時に消費地でもある欧州連合(EU)が、過剰生産気味のワインをバイオ燃料(バイオエタノール)に転用する動きを見せている。生産農家から余剰ワインを買い取ったEUが、バイオエタノールの原料として転用するというものだ。
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ワインは近年オーストラリアやチリ、アルゼンチンや南アフリカなど、ワイン新興国の攻勢もあり(消費者にとっては値が下がり選択肢も増えるなど良いことずくめではあるものの)EUのシェアが低下。生産過剰に直面している。元記事によるとEU加盟国のフランス・イタリア・スペイン・ポルトガル・ギリシャ産のワイン計6856万リットルを1月10日までに入札、これらを蒸留して、工業用のバイオエタノールに換えるという。
EU内でもワイン消費量が毎年7500万リットル(0.65%)ずつ減少しているのも、ワインのあまり現象に拍車をかけている。この傾向が続けば、EU内でのワイン余剰量は27億リットル・生産量の15%におよび、EU外への輸出量である13億リットルの倍以上になるという。
さらにEUでは燃料への転用だけでは余ったワインを処分しきれないため、ブドウから他の作物への転作や、競争力のある高品質ブドウの栽培奨励、栽培管理技術の向上などに向け、2006年~07年度に4.5億万ユーロ(約700億円)もの補助金を支給する方針だとのこと。
【一部海外メディア】ではこのような事態を「Wine Crisis」と称しつつ報じている。さらに今件について、アメリカではすでにワインは十分行き渡っていること、EUがワインをブランデーや洗剤、今回取り上げたバイオエタノールなどに換えるべく資金を供給したことを伝えている。そしてこのようなワイン過剰状況について、「現代の状況にマッチしたマーケティングをしていない」「特に南アフリカ産ワインの攻勢がいちじるしい」「ワインのコルクもフランスなどの主流である天然コルクに代わり、合成コルクが多く使われるようになる、コルク市場でも大きな変化が生じている」とのことである。
先に【バイオエタノール混入のガソリン、名称「バイオガソリン」に】でも報じたように、日本のバイオエタノール市場において、名称を「バイオガソリン」と決定した他に、燃料そのものはフランスから輸入することが発表されている。世界最大のバイオエタノール輸出国であるブラジルではなく、フランスから輸入する理由は「余剰農産物を用いてエタノール化する産業が盛んだから」という話ではあった。今回の記事で、余剰生産物の中でも特にワインが余っていること、そして恐らく日本に輸入されるのはこの「ワインを蒸留したバイオエタノール」であることが容易に想像される。
ガソリンスタンドで4月から供給される「バイオガソリン」が、大元はフランスのワインだった可能性が高い……そんなことを頭に思い浮かべつつ給油すると、ちょっと不思議な気分になれるかもしれない。
もちろん「ああ、車が酔ってしまうかもしれないな。なぜなら……」と話のネタにするのは大変結構なことだが、蒸留も含めた加工済みなので、実際にはワイン成分は残っていないのでご安心あれ(笑)。
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