鳥インフルエンザにも効果のある治療薬、富山化学工業(4518)が初の臨床試験開始
2007年01月25日 19:30
【富山化学工業(4518)】は1月24日、抗インフルエンザウイルス薬「T-705」の日本国内での臨床試験(治験)を開始したと発表した(【発表リリース】)。鳥インフルエンザにも、マウスによる動物実験でこれまでの薬には見られない高い治療効果を示しているため、期待を集めている。
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今回治験を開始したT-705はアメリカでの実験では、治療法方が確立されていない高病原性のH5N1型鳥インフルエンザウイルスの感染マウスにおいて、既存の薬剤より優れた治療効果を示してる。日本国内初となる今回の治験について、【医薬品医療機器総合機構】との検討結果として、効能などについて優先的に治験相談が受けられる「優先対面助言品目」の指定を受けているため、迅速な治験が可能となる。
なおT-705は現在普及しているインフルエンザ治療薬とは別の仕組みで治療効果をもたらすものであり、インフルエンザの性質に特有の「早期に耐性がつき効果が薄くなる」という現象にも対応できるとし、期待がもたれている。
さらにT-705はアメリカでも関係方面と密接に協議を重ね、助言を受けた上で1月17日から治験申請を提出、今後は日米の規制当局や内外の専門家らとも密接に協議連携を行い、早期開発を目指すという。そして治験が通り商品としての問題がなければ2009年度中にも発売、日本国内としては初のインフルエンザ治療薬となる。
【中外製薬、インフルエンザ対策としてタミフル1000万人分確保にメド】にもあるように現在(鳥)インフルエンザウイルスへの対抗薬としてはロシュ社のタミフルが代表的な薬剤で、日本でも大々的に備蓄をはじめている。しかしインフルエンザをはじめとするウイルス性感染病の常として、進化で耐性がつき、いざ使おうとした時に効果が薄れてしまう可能性も否定できない。
あらかじめ複数の選択肢を持つことはリスクを回避する最良の手段の一つであり、その意味でもタミフルとは別の対抗・治療薬であるT-705の早急な市販化が求められることだろう。
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