元記事によると支払いもれは2001年度からの5年間で合計1万件以上にのぼる。具体的には社内調査で明らかになったもので、「契約者が死亡保障保険に入る際につける、医療特約の保険料」で多くの支払いもれが見つかった。

給付ミスについて4社は「事務処理上のミスが原因」と説明しているが、昨年保険業界を騒がせた損害保険会社各社に続き、生命保険業界でも大規模な支払いもれが明らかになったことで、関係各庁の指導強化や契約者らの保険不信がさらにふくらむのは避けられない。

例えば「入院給付金と手術給付金を両方受け取れるはずなのに、入院給付金だけを支払い、手術給付金は”契約者からの請求が無かった”として支払わなかった」「本来10日分の入院給付金を支払わねばならないのに、医療機関への確認を十分に行わず、請求に基づいて9日分で済ませた」などの事例がある。これらが「意図的に怠慢行為で支払いをミスした」のか、それとも「保険会社側も契約内容を十分把握しきれず、作業をミスが生じた」のかは不明。

先の損保でも今回の生保でも、不払いミス問題が発覚しているのは保険契約の中でも「特約」と呼ばれる部分についてである。簡単に説明すると「基本の保険につけるオマケ・オプション」。テレビショッピングでよくある「今ならもう一つこれをつけます」「今日だけさらにこのまな板を包丁セットにつけちゃいます」というようなものだ。もちろん保険金が2倍になるというものではなく、例えば「自分が介護を受ける必要が生じた時に給付金が受け取れる」「入院が必要な時に入院費用をサポートする給付金が受け取れる」「がんで手術を受ける必要があるときに給付金を受け取れる」というようなもの。

保険業界も外資の本格的参入で、(それこそ先の「テレビショッピング」の例にあるように)さまざまなオプションこと「特約」を次から次へと用意して魅力を付加させ、顧客の興味を得ようとしている「営業努力」は評価すべきであろう。とはいえ、今回のように、いざ保険金の支払いとなった段階で「事務処理上のミスが原因」という理由があるにせよ、万の単位で支払いもれが生じるような状況はいかがなものだろう。

生保業界にとっては損保の問題がまさに「他山の石」だったことになる。保険契約者やその予備軍にしてみれば、一刻も早い原因究明をはじめとした対処を願いたいところだ。