陸自、3月にも海外派遣用に新組織「中央即応集団」編成

2007年01月06日 11:30

自衛隊イメージ[このページ(nhk.or.jp)は掲載が終了しています]などで報じているように、陸上自衛隊は3月末にも海外への派遣を前提とした「中央即応集団(CRF、Central Readiness Force)」を新編成する。9日にも防衛庁が防衛省に昇格にするのにあわせて自衛隊法が改正、自衛隊の本来任務(主要の目的、なすべきことと定められているもの)に、国連などの要請に従った海外での活動に敏速に対応するための、即時対応性の高い部隊である。

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「中央即応集団」は従来から練度が高くさまざまな任務に就くことを想定されている空挺部隊「第1空挺団」や陸上自衛隊初の特殊部隊であり防衛庁長官直属の「特殊作戦群」、海外での活動を想定した「国際活動教育隊」、ヘリコプター部隊である「第1ヘリコプター団」、化学戦などに対応する第101化学防護隊を改編する「中央特殊武器防護隊」、新編成する「中央即応連隊」などをあわせた4000人ほどの組織となる。

公開資料による「中央即応集団」の編成概念図。
公開資料による「中央即応集団」の編成概念図。

【公開資料】によれば「中央即応集団」の自衛体内での定義は次の通り。

ゲリラや特殊部隊による攻撃などの各種の事態が発生した場合に事態の拡大防止などを図るため、機動運用部隊(ヘリコプター団、空挺団など)や各種専門部隊(特殊作戦群、化学防護隊など)を一元的に管理し、事態発生時に各地に迅速に戦力を提供する部隊として、中央即応集団(仮称)を新編する。

また、国際平和協力活動に主体的・積極的に取り組んでいくため、陸自の部隊(先遣隊を含む。)を迅速に派遣して継続的に活動できるように国際活動教育隊(仮称)を新編する。国際活動教育隊は、師団や旅団などの国際平和協力活動の際に基幹となる要員に対して、平素から教育訓練を行うともに、各部隊で実施する訓練の支援や国際平和協力活動に係わる教訓などを研究・蓄積して教育訓練に反映することとしている。また、陸自の部隊を国際平和協力活動に迅速に派遣するとの観点から国際活動教育隊は、即応性を重視して新編される組織である中央即応集団(仮称)の隷下に新編する。


司令部は東京・練馬の陸上自衛隊朝霞駐屯地におかれるが、2012年度までには神奈川県のキャンプ座間に移転する予定。また、陸上自衛隊でははじめて上級指揮官名に「司令官」の名称が用いられることに(これまでは総監や長)。

「中央即応集団」はいわば第二次大戦中のドイツ軍の「教導師団」や現在のアメリカ軍における「空挺師団」、海上部隊なら空母を含む「機動部隊」のようなもの。国内外を問わず緊急事態が発生した場合に即時行動、対処するための部隊として機動的に運用されるのと共に、国際平和協力活動に関する研究や教育訓練を行うことになる。

戦後において自衛隊発足後としては初の、本来の目的として「海外での活動」が定義され、その活動のための専門部隊も編成される次第。似たような案件はこれまでインド洋やイラク、そしてスマトラ島周辺への派遣が記憶に新しいが、適切と思われるそれぞれの部隊が逐次臨時編成されて派遣されていた。今後はこの「中央即時集団」が中心になり、海外での任務を果たすことになる。

「中央即時集団」の活躍などは今後に期待しよう。一方名称について考えると確かに機能的でシンプルな名称ではあるが、あまりにも味気ない気がするのも事実。国際的なアピールを考えると、やはり「国際救助隊」とした方が対外的にもウケが良いだろうし、隊内指揮も上がるのではないだろうか。……別にテーマソングは要らないし、司令官がパパと呼ばれる必要もないし、本拠地を南海のリゾート島に移す必要もないのだが。

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