ステルスマーケティングが×なワケ……プラスがマイナスに転化する時のエネルギー・2(発覚時)

2007年01月08日 22:00

「ステルスマーケティング」に関するコラムその2。なぜばれた時のマイナス影響が大きいのか、たやすく「炎上」するのかを考えてみる。

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「ステルスマーケティング」が発覚したとき

「ステルスマーケティング」の場合は、ばれない限り、「通常感想」と同じであり、普通の広告より高い評価を受け、信頼されることになる。ところが実際には「ステルスマーケティング」では、「通常感想」で得られる期待度・信頼度の前提の部分「公正な天秤」が欠けている(と思われる)ので、この前提が崩れた場合には、単なる「オープンマーケティング」以上のさい疑をかけられるだけでなく、ネガティブな評価を受けてしまう。

「ステルスマーケティング」がばれた時の概念図。「通常感想」と同じような評価を受けていただけに、その前提が崩れるとその部分がまったく無くなるだけでなく、それまでプラスだったエネルギーがそのまま、あるいはさらに増幅してマイナスエネルギーに転換される。
「ステルスマーケティング」がばれた時の概念図。「通常感想」と同じような評価を受けていただけに、その前提が崩れるとその部分がまったく無くなるだけでなく、それまでプラスだったエネルギーがそのまま、あるいはさらに増幅してマイナスエネルギーに転換される。

まず、「実際には広告だった、素の感想ではなかった」ということで、期待度・信頼度が「オープンマーケティング」と同等のものにまで落ちる(②)。さらにこれまで「通常感想」と同レベルにまで引き上げられていた期待度・信頼度のエネルギーが、そのままマイナスに転換してしまう(③)。

さらに「信頼を裏切られた」「ウソをつけかれていた」という心境・感情レベルでのマイナス効果が拍車をかけ、マイナスエネルギーは何倍にも増幅されることになる(④)。

例を二つ挙げてみよう。まず一つ。「天然水」と銘打っていたミネラルウォーターが、実は単なる「水道水」だった場合を想定してみよう。単に「水道水」を飲まされていた時以上のマイナスイメージを持ち、怒りを感じるはずだ。

もう一つ。雑誌で高評価を受け、自分も「これは素晴らしいゲームだ」と考えていたゲームソフトを実際に買ってみたところ、30分で飽きてしまうような自分のゲーム経歴の中でもっとも駄作なものだったとしたらどう思うだろう。たとえ他人の意見をまったく聞かずに自分の判断だけで「素晴らしい」と思った上で買ったとしても、奈落の底まで気持ちは落ち込むだろう。はじめから駄作だと分かった上で購入した時の何倍にも悲しみが増すはずだ。

整理してみよう。なぜ「ステルスマーケティング」の正体がばれたとき、通常の「オープンマーケティング」広告の数倍にもおよぶネガティブな反応があるのか。

1.「オープンマーケティング」までの格下げ
2.「通常感想」と「オープンマーケティング」の間のプラスエネルギーがそのままマイナスに転化する
3.心境・感情面でのマイナス効果


この3点が一挙に襲い掛かるからだ。上場企業に例えれば、「格付け会社の一斉格下げ」に「債務超過の発覚」「大型プロジェクトの軒並み中止」「主要経営陣の商法違反発覚」「主力商品の一斉リコール」「証券取引所の監理ポスト行き」が重なったようなもの。

特に広告は消費者一人一人の心に訴えかけることを至上命題としている。受け手の心に響くものがなければ、対象となる商品やサービスを買ってもらうどころか知ってもらうことも出来ないからだ。気にならない広告をいちいち覚えている人などいない。覚えていなければ買ったり利用することもありえない。

それゆえ、「ステルスマーケティング」では「3.心境・感情面でのマイナス効果」が一番のリスク要因となる。せっかく対象商品やサービスがそれなりに素晴らしいものなのに、欲を出してこの手法を用いてばれてしまい、要らぬマイナスイメージを受けた商品を、私たちはいくつも知っている。具体例は挙げないが。


■一連の記事:
【ステルスマーケティングが×なワケ……プラスがマイナスに転化する時のエネルギー・1(定義)】
【ステルスマーケティングが×なワケ……プラスがマイナスに転化する時のエネルギー・2(発覚時)】
【ステルスマーケティングが×なワケ……プラスがマイナスに転化する時のエネルギー・3(なぜ流行るのか)】
【ステルスマーケティングが×なワケ……プラスがマイナスに転化する時のエネルギー・4(まとめ)】

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