「2/3がネット上でのトラブル経験アリ」「自宅で仕事をする人は4割」ネット使用に関するセキュリティ意識調査まとまる

2007年01月20日 10:00

【野村総合研究所(4307)】のセキュリティ関連会社である【NRIセキュアテクノロジーズ】は1月19日、インターネットの利用とトラブル、情報セキュリティに関する意識調査の結果報告を発表した(【発表ページ】)。それによると「インターネット利用者の約3分の2がインターネットのトラブルに遭遇した経験がある」という。一年前の調査より被害者は若干減ったものの、犯罪や営利目的のウイルスも増加しており、注意を呼びかけている。

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今回の調査は2321名のネット利用者に対して行われたもの。うち会社員は1266名だった。

●3分の2がネット上でのトラブル経験あり

インターネット上で経験したトラブル
インターネット上で経験したトラブル

インターネットを利用していてトラブルに遭遇したことがないとする回答はわずか36.0%に過ぎなかった。トラブルと言っても多種多様で、スパムメールの受信が半数近くの49.0%を占めているが、「個人情報の漏えい」が5.6%・「Winnyなどによる情報の流出」が0.3%など、実害例も多数見受けられる。ただこれら数字は以前より減少傾向にあり、その理由としては2005年4月に施行された個人情報保護法によって、情報発信側の体制強化が一因だとされている。

●個人情報の管理強化を求める声
有料サービスですらネット上における個人情報の漏えい事件が相次いでいることを踏まえ、「有料であるからには基本的な情報であっても絶対に漏えいはしてほしくない」という項目の回答者が全体の64.6%に達した。去年の調査結果である56.5%より10%近く増加し、実例がいくつも報じられたことでさらにニーズが高まったといえる。もちろん無料ならば情報の漏えいは仕方ない、という考えではないので、念のため。

●私物パソコンのLANへの接続に関するルールは不備状態が続く

会社のLANへの接続ルール・守っているかどうか
会社のLANへの接続ルール・守っているかどうか

企業の端末などが感染する原因の一つに、社員などの私物パソコンを社内LANにつなげるというものがある。特に中小企業や個人事業が感染の被害にあう場合、その多くは「私物のパソコンと仕事用のパソコンが同一化している」「社内のLANに自前のパソコンをつなげてそこを経由して」というものだ。ところが、会社員の回答者の45.5%が勤務先の企業では「私物のパソコンを会社のLANにつなげることを禁じていない」としており、接続ルールの不備がうかがえる。さらに禁止しているにも関わらず「つなげたことがある」と回答した人が1.4%おり、ルールそのものの強制力が求められるところでもある。

●自宅で仕事をする会社員は4割。情報の外への持ち出しで漏えいなどのリスクも

自宅でパソコンを使った仕事の実施状況と企業ルールの遵守状況
自宅でパソコンを使った仕事の実施状況と企業ルールの遵守状況

自宅に仕事を持ち帰り、パソコンを使って仕事をしている人は約4割に登っている。その中で「自宅で仕事をすることを禁じられていないので、自宅で仕事をすることもある」が30.6%を占めているものの、「自宅で仕事をすることが禁じられているが、自宅で仕事をすることがある」も1割近い7.4%の回答者がいる。会社外での作業は情報漏えいの可能性がケタ違いに高まる(社内のパソコンを使えないというだけでも情報の漏えいの可能性は増す)。企業としては自宅業務の実態把握、自宅で業務を許可する場合のルールや対策の充実がもとめられることだろう。

情報セキュリティは災害対策と同じで、事象が発生するまでは「自分らは大丈夫」とたかをくくるものだが、いざ我が身にふりかかると「ああ、対策をしておけばよかった」と悔やむもの。ただ、災害対策と情報セキュリティとの大きな違いは、前者が実際に身に降りかかるかどうかが分からないのに対し、後者はハードディスクのトラブルなどと同じように「必ずおきうる」もの、という点にある。

一方でライフスタイルや仕事のこなし方の多様化で、会社以外の場所で仕事をする会社員も増えてきている。しかしながら情報に関するルール作りや対応作は、現状に即しているとは言いがたい。今後は特に、会社外での情報の取り扱いに対する仕組みを整備し、実践していく必要があるだろう。

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