……彼らの素性は明らかでなかったり、店舗があらかじめ用意したスタッフではなかったようだ。例えば【ASCII 24】によると、ビックカメラ有楽町店ではなぜかスターウォーズの帝国軍兵士ストームトルーパーが整列を守らせるべく警備(?)に当たっていたようだ。かなりしっかりとしたコスプレだが、店員でも何でもない、有志のもよう。なぜスターウォーズの、しかも帝国軍兵士なのかは疑問だが、無言の威圧感で整列させようという意図を持ってしてのものだとすれば、まさに適役といえる。

また、列の中にはWiiのリモコンに扮した人もいたと報じられていた。この人、『ゲームラボ』のナベケン氏で、氏を漫画によく登場させている【ピョコタン氏のブログ】にその経緯が詳しく説明されていた。いわく、夜は寒いから段ボールで暖をとるが、どうせならということでWiiのコントローラー仕様にしたとのこと。しかもこの格好のまま電車に乗って現地までおもむいたようで、その様子の写真まで掲載されている。漢である。

[NIKKEI デジタルアリーナ]によると、東京秋葉原のヨドバシカメラ マルチメディアAkibaにはスーパーマリオブラザーズのルイージが登場。店員に混じって最初の購入者にWiiを手渡す様子が報じられた。が、こちらも実は店や任天堂とはまったく無関係の一般(?)人だったようで、同記事にあるように突然関係者に誘導され退場させられてしまったとのこと。このルイージは多くのテレビニュースにも映し出されたため、見た人も多いことだろう。

ストームトルーパーが警備にあたったビックカメラ有楽町店では、[毎日新聞]によるとセガの人気キャラであるソニックが最初のWiiを購入者に手渡したという。このようすは[IT media]でも報じられている。セガと任天堂の蜜月関係を象徴するかのように、ソニックが派遣されたのだろうか。このソニックの正体については記事上の言及がなく不明である。

同人誌の販売イベントでは自発的に列を守らせるなどのガードマンをボランティアがかってでるという状況がよく見受けられる。また、海外でも似たような話題のタイトル・ハードの販売時期に行列が出来ると、「人が集まる」＝「祭り」という発想から、さまざまな関連するコスプレ・着ぐるみで登場し、場を盛り上げる一幕が見受けられる。

日本ではあまり例のなかった「行列でのコスプレによる自己主張や場の盛り上げ」も、今回のWiiの発売時期ではあちこちで見受けられ、また多くが報じられることとなった。メーカーや店舗によるものでなく、自発的な一般の人によるものとして、「発売を楽しもうじゃないか」という意図が感じられる。好意的に受け止めても良いと(少なくとも当方は)解釈できよう。

当方の近所にある「としまえん」で定期的に開かれている【コスプレイベント】のようすを見るにつけ、「心も体もなりきって、雰囲気を楽しもう」という、コスプレをする人たちの気持ちは十分に理解できる。それと似たような「オーラ」が、今回の「ルイージ」や「Wiiコントローラー」などからは感じ取れるのだ。

ただ、ルイージの場合のように、誰も「中の人」の正体を知らずに何となく状況が進展し、ある程度ことが進んでから裏に引き込まれるというのは、警備上問題があるという指摘もしなければならない(物騒な世の中でもあることだし……)。今後同様の機会がある時には、客として並ぶのでない限りは、関係者の承諾を取った上で行うべきだろう。

それにしても。「帝国軍兵士」「Wiiコントローラー」「ルイージ」「ソニック」が登場しているのに、肝心の「マリオ」「ピカチュウ」「ゼルダ」などの姿が見かけられなかったのは残念でならない。

(最終更新:2013/09/15)