【更新】TTG(1991)、債務超過隠蔽で1億3133万円の課徴金へ、上場廃止も決定
2006年12月07日 09:00
【証券取引等監視委員会】は12月6日、ジャスダックに上場している電気通信設備の工事会社【TTG(1991)】について、有価証券報告書などの虚偽記載があるとして、【金融庁】に対し1億3133万円の課徴金を課すよう勧告を行った(【発表リリース】)。また、これらの有価証券報告書について正しい報告書を提示するよう求める勧告も同時に実施した(【発表リリース】)。
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これは有価証券を募集したり売り出しをする際にジャスダックなどに提出し公開する有価証券報告書に、経常損失を隠して水増し計上していただけでなく、資産そのものもかさ上げし、度重なる債務超過を隠していたとするもの。2005年3月期における債務超過の額は約18億5100万円となる。具体的には工事などの外注費を完成時に費用計上せず翌期以降に繰り延べる売上原価の付け替えなどが行われていた。修正前後の会計概要については[こちら(PDF)]となるが、見事に3期連続の債務超過であることが分かる。
証券取引等監視委員会では今後、TTGの監査を担当していた麹町監査法人・監査法人つばきの監査が妥当だったかどうかも検証する方針だという。
これにあわせ【ジャスダック】でも12月6日、TTGの株式を12月7日から整理ポストに移行し、2007年1月7日に上場廃止を行うと発表した([発表リリース、PDF])。これは虚偽申告が発覚したことで、実際にはTTGが3決算期間において債務超過の状態であったこと、さらにこの報告は投資者の投資判断を大きく誤らせ、投資家の市場への信頼を著しく損なうと判断し、その影響が大きいとしてのもの。
TTGでは今件について[有価証券報告書等の虚偽記載に係る課徴金納付命令の勧告並びに半期報告書等の虚偽記載に係る訂正報告書等の提出命令の勧告について(PDF)]などで、証券取引等監視委員会の勧告内容を真摯に受け止めると共に、報告書を12月中旬をめどに提出、再発防止策として4月に発足させた外部有識者から構成される「特別調査委員会」から地域事業本部制の導入や内部統制体制の強化などを行うとしている。
また今件について[NHK]の報道によるとTTG側では「債務超過が明らかになると上場が廃止されるなど会社の存続が難しくなるため旧経営陣が行ったことで、投資家の皆様に迷惑をかけたいへん申し訳ない。勧告をしんしに受け止め、経営改善に努めたい」とコメントしているという。最新の会計期には債務超過からかろうじて回復しているようではあるが、今後の精査により、それすらくつがえされる可能性もある。そして上場廃止が決まった以上、市場から資金調達をするすべは無い。
このコメントの内容が事実だとすれば、ジャスダックによる上場廃止の決定がどのような結果をもたらすのか、あまり想像したくはないような気がする。
また、「会社の存続のために投資家にうそをついた」ということが発覚したことで、市場、特に新興市場企業に対する不信感が(ジャスダックでも指摘しているように)またさらに高まったことは間違いない。投資家を金集めの材料にしか思っていないような行為に対し、きわめて残念なことである。多くの真面目に事業活動をしている企業にとっても、はた迷惑な話といえるだろう。
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