「ステルスマーケティング」規制の対象に

2006年12月26日 09:30

インターネットイメージ【AFP】が伝えるところによると、アメリカでは個人のブログになりすまして商品をほめて消費者の関心・賛同を得ようとする広告戦術(ステルスマーケティングと呼ばれるものの一種)について非難が集まっている。Flogことにせ・やらせのブログを開設したり、報酬と引き換えに個人のブログ執筆者に(思いもないことによる)口コミ広告を書かせるなどの手法をとっている会社が批評の対象になり、法的措置の動きもあるという。

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先日ソニー・コンピュータエンタテインメント・アメリカでは、「クリスマスに欲しい物はプレイステーション・ポータブルだけ(All I want for Christmas is a PlayStation Portable)」という偽ブログを開設していたことを認めた。同ブログではCharlieという名のヒップホップ・ミュージシャンの個人ブログになりすまして、プレイステーションを熱狂的に称賛。ソニーは同ブログに「少々行き過ぎた方法だった」と短いコメントを掲載して謝罪したという(【参照:Engadget Japanese】)。担当する会社はいわゆる「口コミマーケティング」企業だったという。さらにアメリカではブログ執筆者と広告主を結びつけるビジネスモデルが流行り、それがこのようなFlog問題を加速させるという批判がある。

この流れについて記事でも指摘しているが、(口コミと引き換えに報酬を支払う広告戦略がブログ界に浸透しているが)この事実を閲覧者に予告せずに意見を掲載すれば、非倫理的であるばかりか、今後連邦取引委員会(Federal Trade Commission、FTC)が定めるルールに抵触する可能性もあるという。FTC側でも今月、「このような仲介は完全に排除しなければならない」と警告し、処罰については個別に対応していく方針を明らかにした。

あくまでもこれはアメリカでの話しだが、日本でも同様の「ステルスマーケティング」がひそかに浸透しつつある。すでに「企業からのリリースを登録ブログ執筆者に流して、条件にマッチした記事を書かせ、水準に達した記事に対して先着で報酬を支払う」ビジネスや、「ブログ執筆者を束ねて企業に紹介し、ステルスマーケティングの人材派遣業を行う」ビジネスが行われている。

もちろんこの「Flog」なるもの、読者の気持ちを裏切ることに他ならないもので、成功すれば効果はそれなりに上がるだろうが、失敗すれば何倍もの跳ね返りが発生する。そもそもビジネスとして「それをやっちゃあおしめぇよ」という類のものだ。ただ、ネット上では仕掛けを簡単に作れるため、特に宣伝展開を行う側からは「手間も費用もあまりかからず、絶大な効果が望める、しかも今話題のネット口コミを使っているとしてクライアントにもアピールできる、素晴らしい錬金術」としてもてはやされているようだ。

実は先日当方(不破)宛にも、この「ステルスマーケティング、やらないか」という主旨のメールが某企業から届いた。すでに何度か当サイトの記事に目を通している読者諸氏ならお分かりの通り、ステルスマーケティングなどのネットマーケティングに興味を持ち、「インチキはだめでしょ」と考えている当方としては、当然のことながら賛同しないことにした。この件もあわせ、日をあらためてコラムにまとめる予定だ。


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(最終更新:2013/08/23)

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