【更新】「日興が不適切な利益計上、課徴金も視野」日経報ず

2006年12月16日 12:00

株式イメージ【NIKKEi NeT】は12月16日、証券大手の【日興コーディアルグループ(8603)】が2005年3月期決算で不適切な会計処理をした疑いがあるとして【証券取引等監視委員会】が調べを進めていると報じた。グループ企業の会計処理で利益を調整した疑い。委員会では日興側に決算の訂正をうながすと共に、【金融庁】に対し課徴金の納付命令を勧告することも視野に入れているという。

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記事によれば問題となっているのは、日興が完全出資し自己資金投資を行う【日興プリンシパル・インベストメンツ(NPI)】と、その100%完全子会社(日興からは孫会社にあたる)のNPIホールディングス(NPIH)。2004年8月においてこの2社は相対でデリバティブ(金融派生商品)を取引し、NPIでは約140億円の評価益を、NPIHでは同額の評価損を計上した。その上で、日興本社は評価益だけを連結決算に反映し、評価損のNPIHを連結決算から外す会計処理をしていたという。分かりやすく表現すると「同じ商品を一方が売り、一方が買う。そして儲かった方だけをグループの利益に計上し、損した方は除外する」というもの。

ただし16日現在、証券取引等監視委員会および日興グループ各社からは何の発表もされておらず、日経での情報以外の詳細情報は不明。

元記事にある件は以前から一部投資専門誌でも指摘されている話であり、また、手立てとしては比較的古くからあるものともいえる。これが事実だとすれば、複数の子会社・孫会社が手持ちにあれば、金融商品の相対取引を用いて会計処理を施すことで、いくらでもグループ全体としての利益を操作計上できることになる。問題なのは間違いないだろう。

また、過去のIRデータを再確認するとこの大規模な評価益が報じられてから株価も上昇、さらにそれからまもなくして約500億円の社債発行なども行っている。このことを考慮すると、日経による指摘が確かなら「株価上昇と増資をスムースに行うための利益操作」と受け取られかねず、ことは単なる財務諸表の調整以上の問題に発展しそうな雰囲気する感じられる。

今回、金融庁や証券取引等監視委員会の名前が出ているところを見ると、具体的なプロセスに捜査が進んだものと推測される。来週早々にも大きな動きがあるかもしれない。

※更新
今件につき日興側は16日13時50分に声明を発表(【リリース、PDF】)。それによれば「本日、当社が不適切な利益を計上との一部報道がありましたが、現時点で申し上げられることは何もございません」とだけあり、いわゆる「ノーコメント」を貫いている。否定も肯定もしていない、ただ「ノーコメント」を発したことだけが事実ということになる。

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