【更新】相変わらず続く図書館蔵書の切り抜きや落書き、「いけないんですか」と罪の意識もない意見も
2006年12月14日 07:00
先に【「本が泣いている……」図書館の書籍を切り抜き書き込むマナー違反な人が増えている】で報じたように、図書館の蔵書を自分の書籍であるかのように切り抜いたり落書きして使い物にならなくさせるという、公共心に欠けた行為が横行しているが、中には閲覧室で堂々と雑誌を切り抜いて、職員から注意されると「どうして(切り抜いては)いけないの」と反論する者もいることが明らかになった([参照:YOMIURI ONLINE])。
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元記事では東京都の世田谷区区立中央図書館での例が挙げられている。5年ほど前から被害が目立ち始め、最近では1日に2、3件のペースで切り抜きや書き込みが見つかるという。同図書館のある職員が印象深かったものとして、3年前に遭遇した次のような事件が例示されていた。
館内で若い女性が最新号のファッション雑誌からヘアスタイルの写真をカッターで切り抜いていた。驚いて注意すると、女性は悪びれる様子もなく「どうしていけないんですか」と言い放ったという。
今図書館でもっとも多いのは雑誌から人気アイドルの写真が切り取られるケースで、これは前回紹介したものと同じ。また、新聞の「縮刷版から」丸々1ページが引き抜かれたり、論文を掲載した書籍に300ページ以上に渡って線を引くケースもあったという(ちなみにこれらの例は立派な刑法上の器物損壊罪に該当する。公立図書館であれば職員は公務員だから、職員の制止を聞き入れなければ公務執行妨害にも該当する可能性がある)。図書館側では雑誌類は書棚におかずカウンターからの貸し出し方式に切り替え、それでも切り抜きが頻発したアニメ雑誌は購入そのものを中止した。
多くの図書館が加盟している【日本図書館協会】では「数年前から図書が傷つけられる被害が急増した」とし、もちろんさまざまな対策を呼びかけているが、同時に現状をうれいている。
以前の記事でも指摘したが、今回の「どうしていけないんですか」と”悪びれる様子もなく”ということから、「してよいことといけないこと」をちゃんと学んでいない、知識として認識していない人が増えている可能性が高い。給食費未払いの事件などにもあるように、親側でも「やり得」「ごまかせれば勝ち」的な考えがまんえんつつあるのかもしれない。これらの点について元記事では、速水敏彦・名古屋大大学院教授の言葉として、適切に指摘しているのでそのまま引用しよう。
「自己中心的で他人を軽視する行動をとる傾向が強くなっている結果、罪の意識もなく公共の財産を傷つけるような行為が横行しているのではないか」
「幼少時からの教育が重要なのに、親がルーズなため、家庭できちんとした教育を受けていない人が少なくない。給食費を払わなかったり学校に非常識な要求をしたりする保護者と根っこは同じ。学校より、家庭の問題だ」
社会的規範を守らず本能でのみ行動するなら、それは人間ではなく単なる動物である。「やり得」「ごまかせれば勝ち」を行うことが時代の先端を行く、流行に乗っていると思うのならそれは大きな間違いで、単なる「動物への退化に過ぎない」こと、そして何より非難や処罰の対象になることを認識してほしいものだ。
……それでもよい、というのなら、「動物への対処」と同じように、分かるまで厳しい体罰を与える必要が生じるのだが、どうだろう(笑)。そこまで「退化」しているとは思いたくもないが。
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