この「(赤ワイン成分の)レスベラトロルを採り続けると高カロリー食を採り運動しなくても長生きできるかもしれない」という研究報告は、美食家のフランス人に心臓病が少ない「フレンチ・パラドックス」や、伝統的にポリフェノール含有量の多いワインを生産してきたフランス南部では、住民に心臓病が少なく寿命が長いことを実証することになるとしても注目を集めている。

しかし現在、臨床実験が始まったばかりで、マウスはともかく人間にも同じことがいえるのかどうかはまだ先、早くても1年から2年はかかるという。さらに現在市販されているポリフェノールのサプリメントには純粋なレスベラトロルのものは無く、仮にこの研究報告が正しいものだとしても、対応するサプリが存在しないことになる。こちらの開発も待たれているという。

もっとも記事では、マウスに与えたレスベラトロルの量(1.5グラム/日)を例に挙げ、通常のワイン摂取量ではまかないきれる量ではないという話も出ている。仮に「赤ワインで長生き」がデータとして実証されたとしても、それを自らの体で実践させるために飲みすぎ、かえって体を壊してしまったのでは本末転倒でしかない。

また、レスベラトロルはぶどうやベリー類、ピーナッツなどのナッツ類、緑茶にも含まれるというが、赤ワイン同様に「必要量」を得るには相当な量が必要なもよう。やはり研究そのものの結果と共に、サプリメントなどの登場を待つしかなさそうだ。