近未来通信社へ警視庁が本社などを捜索、海外旅行を繰り返し偽装工作も
2006年12月05日 08:00
[このページ(nhk.or.jp)は掲載が終了しています]などが報じたところによると、IP電話への設備投資と高配当を語って投資金を募っていた【近未来通信(近未來通信)】が、うその説明をして巨額の資金を集めていた疑いが強まったとして【警視庁】は12月4日、詐欺の疑いで本社や支店、さらに石井優・近未来通信社社長の自宅を捜索した。
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近未来通信社では少なくとも1100万円以上の出資を募り、IP電話の中継器の設置をうながしてその中継器経由て行われる通話の料金の一部(最高で毎月約84万円)を配当として振り込むとし、「3年間で元本が回収できる」と説明。全国の3000人以上の人からあわせて400億円以上を集めたと見られている。しかしこれまでに報じているように、投資対象の設備はほとんど使われておらず、その設備によって産み出された収入もほとんど無く、実際には新しい会員から集めた資金を、既存出資者への配当に充てたと見られている。
すでにテレビ番組などで「日本国内の設備のほとんどは見せ金ならぬ見せ設備だった」「資金を集めるためにIP事業を展開しているという名目が必要だった」ということが判明していると報じられている。NHKでは元幹部とされる人への取材が行われていたがそれらによると、
・ハワイやニューヨークなど海外に設置した施設への無料見学ツアーをたびたび行い、出資者に見せ、海外展開をよそおっていた
・しかし実際には日本国内同様海外の設備もほとんど使われていなかった。客が来たときだけ設備に電源を入れて見せ、お客に「これがあなたの中継局だ」と説明して売っていた
・日本国内の設備もただ置かれているだけで電源すら入っていない(先のTBSの報道番組でその姿が映し出された際には「たまたま」と石井社長は説明していたが、そうではないことが明らかになった)
・「中高年の定年退職者のお金が目当て。彼らにはIP電話の知識もない。要はカネ集めのための名目が必要で、そのためにIP電話を使った」
などが報じられている。
警視庁では話題にのぼり注目が集まっているIP電話の設備を、資金集めのための仕掛けとして利用していた疑いが強いと見て、巨額の資金集めの実態解明を進める方針だという。
また弁護団は12月4日に記者会見を行い、その中で弁護団長の紀藤正樹弁護士は「弁護士会が行った電話相談から2週間ほどで、警視庁が捜索に踏み切ったことは評価できる」とした上で、「警視庁には資産保全を含めた処置をとってほしい。弁護団でも早急に会社の破産を申請したい」と述べている。
確かに先日のTBS「報道特集」の放送以降、事態は急激に進展(?)しつつあるのは事実。それだけ事態そのものが切迫していたということになるのだろう。逆に考えればそれだけ以前からさまざまな問題が指摘されていたことでもあり「なぜもう少し早く手が打てなかったのか」「危ない噂を耳にしていた人も多いだろうに、どうしてその上で多額のお金を出資したのか」と考えも思い浮かんでくる。
はじめから自転車操業をするためだけに事業をするものなどいない。そのプロセスの中で資金を「抜き」、ふところに納めるためにその仕組みを作るのが自転車操業稼業のパターン。まずは資金の流れを明らかにすることが、関係者の最優先事項となるだろう。
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(最終更新:2013/08/24)
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