野村証券(8604)のレポートに見る、証券税制優遇措置問題と投資家動向

2006年12月11日 12:30

株式イメージ先に【野村證券(8604)、12月計測分の個人投資家動向を発表。人気トップ2企業は変わらず】でも報じた、【野村證券(8604)】の金融経済研究所が12月5日に発表した、個人投資家の投資動向に関するアンケート調査結果とその分析レポート「ノムラ個人投資家サーベイ・2006年12月、PDF」では、最近話題になり、投資家の間で今後の投資動向を占う上で重要なファクターとなる、証券税制優遇措置問題に関する意識調査も行われていた。

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まず一つ目は「優遇税制が投資スタート、あるいは拡大の動機になったかどうか」について。

●優遇税制は株式投資を始める・拡大する動機になったか
・動機のひとつになった……29.3%
・ならなかった……52.7%
・優遇税制を知らなかった……18.0%


動機付けになった人が3割ほどいるものの、ほとんどが影響なし(「知らなかった」を含む)であることが分かる。つまり、「すでにある、当たり前のこと」としての認識が主流派ということなのだろう。

次に「証券税制優遇措置廃止が決定された場合、投資行動をどのように取ると想定されるか」という問いには次のような結果が出た。

●優遇措置廃止が決定された場合、採ると思われる投資行動
・損益や相場環境と無関係に廃止前に株式の一部、あるいは全部を売却……8.9%
・損益次第では株式の一部、あるいは全部を廃止前に売却……27.3%
・市場に悪影響が出ると思うので、相場環境次第では廃止前に株式の一部、あるいは全部を売却……20.8%
・市場への影響はあまりないと思うので今までどおり……43.0%


廃止が決定しても投資行動に影響は及ぼさないとする意見が4割強である一方、影響ありとして何らかの形で保有銘柄を売却する可能性を示した人が過半数を占めている。売りが売りを呼ぶ可能性も捨てきれない。

続いて「優遇措置廃止の可否について」という質問に対する答え。

●優遇税制廃止に対する考え方
・リスク資産への投資に対する税制上の優遇は必要。廃止すべきではない……29.8%
・市場はまだ回復途上。廃止は時期尚早……28.6%
・株価水準が上がっているので廃止しても良い……4.1%
・廃止はやむをえないが段階的引き上げなど影響緩和措置を採るべき……13.2%
・代わりに長期保有譲渡益や配当金への優遇措置を策定すべき……11.8%
・代わりに金融一体課税、損益通算制度を早期に導入すべき……9.1%
・その他……3.4%


証券税制優遇措置に反対する回答があわせて58.4%と6割近くに達している。また、代替案を求める意見が2割、一時的影響緩和措置を求める人も1割強に及んだ。用意された選択肢の中からの回答なので一概にこの数字が状況を反映していると断じるのは難しいが、それでも「廃止反対が多数」「代替案が必要だ」という意見が多数を占めているのが分かる。

証券税制優遇措置については現在のところ、各勢力のパワーゲームが続けられている状況。予定通りの廃止という線よりは、「期間限定で延長(要は結論の先延ばし)」「代替案の模索」という路線で話がまとまりつつあり、「予定通りすぱっと廃止」という線は消えつつあるように見受けられる。

外国勢の投資家らもこの税制問題については関心を深めており、決定内容次第では国内外で「駆け込み投売り」が生じる可能性も否定できない。折角景気が回復して「きたように見え」、株価もそれなりの水準を維持するようになった時に、いきなりショック療法で株価に大打撃を与えるような愚策は、ぜひとも慎んでほしいものだ。

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