ノロウイルスは汚染された食材や食品を中継した食中毒だけでなく、食品を取り扱う人たちを介した、人から人への伝播、さらには汚染された環境からの伝播など、さまざまな経路で感染を引き起こすといわれている。症状としては腹痛や下痢を引き起こすのが顕著な例。特に最近では、ノロウイルスが原因と考えられる感染性胃腸炎が昨年の同時期に比べて二倍近く発生しているという報道もあるくらいに多発し、社会問題にまでなっている。

ノロウイルスによる食中毒は、特別な治療法がなく対処療法しかできないため、できる限り早く原因ウイルスを特定し、適切な処置とウイルスの拡散を防ぐことが重要となる。

今回発表された「ノロウイルスG1検出試薬キット」「G2」は、感染者の便を調べるのに必要な作業工程を簡略化できるのが最大の特徴。たとえば100件単位の大量の検査結果を出すのにも4時間程度で済み、従来の手法と比べると半分の時間で済む。

検出時間が短縮できれば感染源の特定も早くなる。特定が早まれば病院や公的機関など多数の人が集まる場所における感染者の増加や嘔吐(おうと)物などを通じた2次感染のすばやい予防が可能となる。1キット(48検査)あたりの価格は6万5000円。キット内容や価格からも分かるように、個人宛ではなく保健所などの研究機関向けに販売する予定。

検査体制が拡充するのに役立つアイテムとして注目されることだろうし、ぜひとも多くの機関で採用し、感染の拡大に少しでも役立ててほしいものだ。