富士通(6702)、ひまし油からプラスチックを開発・携帯電話などに応用
2006年12月08日 06:30
【富士通(6702)】は12月7日、同社のグループ会社である【富士通研究所】などと共に、トウゴマの種から抽出されるひまし油を原料とした植物性プラスチックの開発に成功したと発表した(【発表リリース】)。繰り返し屈曲に耐える柔軟性を有しており、今後富士通のノートパソコンや携帯電話のコネクト部カバーなど、小さい部品への採用を検討するという。
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二酸化炭素の排出量削減が叫ばれる昨今、石油の代替材料として注目を集めているのが、植物性プラスチックの活用。富士通でも2002年にトウモロコシなどを原料とするポリ乳酸系の植物性プラスチックを開発し、ノートパソコンに採用してきた。今回、柔軟性や量産性にすぐれ、かつ植物度の高い新しい植物性プラスチックの開発の求めに応じ、ひまし油原料の植物性プラスチックが創られることとなった。
原材料のトウゴマの種子
今回開発された植物性プラスチックスはフランスの化学メーカーアルケマ社の協力によるもので、トウゴマの種子から抽出されるひまし油を原料とし、ポリアミド11(PA11)を主成分に持つもの。繰り返し折り曲げても白くならない柔軟性を持つと共に、ノートパソコンのカバー部品で60~80%という高い植物成分比率を達せすることができた。また、強度補強のために充填剤を添加した際にも高い耐衝撃性を保つことが可能なため、パソコンの本体部分への採用も期待されている。
富士通では今後さらにこの「ひまし油植物性プラスチック」の研究を重ね、2008年までにノートパソコンや携帯電話などの小部品への適用を行う予定。またさらに大型部品への適用に向けた研究をも並行して行うとのこと。
「プラスチック=石油」というイメージしかない当方(不破)にしてみれば、トウモロコシなどの植物からプラスチックができるということだけでも驚き。ひまし油で作られること、かなり成分比率を高めつつ硬度・耐衝撃性にも優れているものまで出来る今回の「ひまし油植物性プラスチック」には、さらなる驚きと期待を隠すことができない。トウゴマ自身はアフリカ原産だが、日本での栽培もされており、石油の産出がほとんど出来ない日本でも原材料を調達可能という点もポイントが大きい。今後の研究の進捗に期待したいところだ。
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