【更新】ノロウイルス流行、過去最大・45都道府県へ警報。空気感染の可能性も
2006年12月15日 19:30
先に【東京都が「ノロウイルス警報」発令、感染性胃腸炎が大流行中】で東京都において感染性胃腸炎の引き金となるノロウイルスへの警報が出されたことを報じたが、[YOMIURI ONLINE]によるとすでに45都道府県で同様の警報が出され、1981年の【厚生労働省】が調査を始めて以来最大の流行状態にあることが明らかになった。【国立感染症研究所】では今がピークであるとしているものの、なお今後とも警戒が必要だとしている。
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国立感染症研究所では全国約3000か所の小児科医療機関から「感染性胃腸炎」の発生状況の報告を毎週受け、全国の570保健所の管轄区域ごとに、1医療機関あたり1週間で平均20人以上の患者がでると、厚生省はその保健所に注意喚起のための警報を発している。この患者数の「全国平均」が先月下旬の段階で19.83人となり、過去最高になった。あともう少しで「計算上は全国すべてで警報」の20人を超える。
特に今年は10月はじめに九州で警報が出された後、桜前線のように流行の波が東に向かいつつあるという。今月はじめには青森と沖縄を除く45都道府県の293保健所で警報が出された。
元記事では吐物による感染(処理が不十分だと起きる。ノロウイルスは塩素系の漂白剤でないと死滅しない。国立感染症研究所のサイトでは「ウイルス粒子の感染性を奪うには、次亜塩素酸ナトリウムなどで消毒するか、85℃以上で少なくとも1分以上加熱する必要がある」と表記している)ケースが多く、また「吐物が乾燥して空気中に舞い上がっても10日間程度は感染力が残り、ウイルス数個でも感染する」という話も語られている。直接患部や対象物に触るだけでなく、空気感染の可能性もあるとなれば、爆発的な感染力が生じるのもおかしくはない。特に学校、養護施設など「体力が十分でない人たちが集団で長時間過ごす場所」では大規模な感染の危険性が高い。
ノロウイルスによる感染性胃腸炎は単なる腹痛で留まるのではなく、食中毒として「たちの悪い」部類として知られるカキ(二枚貝などの方)による中毒で知られているように、まさに胃がひっくり返るような吐き気など「死ぬような思い」をさせられる症状を発する。その腹痛の酷さや突発性から、トイレに常駐しなければならないほど。そして元記事でも「松山市内の病院で72歳~100歳の入院患者4人が相次いで死亡」の事例があるなど、生命に関わることすらありえる。
国立感染症研究所感染症情報センターの松野重夫主任研究官は、感染の広まり具合をかんがみた上で、「このままでは患者数は1000万人くらいになるのでは」という推測すらしめしている。40人クラスならそのうち3~4人、3家族に1人くらいは日本全土におしなべて患者がいる計算になる。
なお、ノロウイルスとそれから生じる感染性胃腸炎について、現在のところ対抗薬は開発されていない。あくまでも予防と、対処療法(水分補充や点滴)を行う程度しか手段がない。下痢止めですら使用すべきかしないべきか、賛否両論のありさまである。それゆえに、関係各方面が危機感を感じているのも理解できる。
一人一人が自分の身を守るためにできることといえば、先の記事にもあるように、清潔さと用心を徹底し、体力をキープすること。それらの基本事項を守り、自己防衛するしかないだろう。
なおこの事態にかんがみ、厚生労働省でも【ノロウイルスに関するQ&Aについて】を改定している。気になる人はこちらも目を通しておいた方がよいかもしれない。
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