アフリカ産植物2種にHIV感染抑制効果を確認、感染防止薬開発の期待
2006年12月29日 12:30
[このリンク先のページ(kahoku.co.jpなど)は掲載が終了しています]が報じたところによると【東北大学大学院医科学研究科】の服部俊夫教授(感染症・呼吸器病態学)らの研究グループが、アフリカ原産の植物「コンブレタム・モーレ」「ペルトフォルム・アフリカナム」2種のエキスに、エイズウイルス(HIV)の感染を抑制する「抗HIV活性」があることを確認した。これらの植物は南アフリカでは民間療養としてエイズ治療に用いられているとのことで、有効成分を特定した上での新薬開発の可能性が期待されている。
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これは東北大学が2006年度に着手した「アジア・アフリカプログラム」の一環で、教授らは薬学研究科、南アフリカ・ベンダ大学の研究者と共同で、エイズや結核など感染症の研究を進めている。
今回発見された植物のうち「コンブレタム・モーレ」は熱帯を中心に草原や湿原で自生し、「ペルトフォルム・アフリカナム」は美しい花を付け、アフリカ各地で生育しているもの。元記事には「コンブレタム・モーレ」の写真が掲載されているが、ごくありふれた茶色い葉をつけている植物に見える。南アフリカでは以前から、民間療法士らがこれらの植物の根から抽出したエキスをエイズ治療薬として処方し、現地では効果があるとされていた。
研究グループでは採取サンプルを用いて抗HIV活性の有無を確かめた。ヒトの細胞にHIVの入った養液をかけると通常なら24時間以内に感染するが、両植物のエキスを加えたところ、「コンブレタム・モーレ」「ペルトフォルム・アフリカナム」それぞれについて感染を確認できなかったという。
現在のところこれらの植物が抗HIV活性を持っているということが判明したのみ。今後グループでは有効成分の特定と解析、さらには化学構造の解明にも力を入れて、抗ウイルス剤の開発を進める。来年3月には植物の特徴や分布状況、民間療法での使用実態などを詳細に把握するため、現地調査を行う予定。
人間がほとんど踏み入れていない原生林など、特にアフリカ地域の植物には、まだ(西洋)科学が認知していない効用を持つ植物の存在が期待できる。そして多くの製薬会社や科学者が研究のために訪れてサンプルを取得し、検証を繰り返している。今回もそのような研究の過程で発見されたとのことだが、つくづく地球のふところの深さを再認識せざるを得ない。
また今回の発見が、民間療法の話を元にしたということも注目に値する。民間療法には単なる心理的影響の面からのものや、でまかせのものも少なくないが、その一方で過去の人たちによる経験則から得られた偉大な知識の蓄積からもたらされたものもある。単に「科学的に」証明できていない、というだけに過ぎない。南アフリカに限らず、民間療法もあながち捨てたものではないということなのだろう。
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