日本の人口は2055年に8993万人へ減少、国立社会保障・人口問題研究所発表
2006年12月21日 08:00
【国立社会保障・人口問題研究所】は12月20日、2055年までの日本の人口変動を予想する【日本の将来推測人口】を発表した。それによると日本における「女性が一生涯に産む子どもの数(合計特殊出生率)」は1.26までに減少し、2055年には8993万人までに人口が減少するという予想が行われている。前回2002年の推計による1.39からの大幅な減少で、少子高齢化がこれまでの予想を上回るスピードで加速することが明らかになり、公的年金などの設計の見直しが一層叫ばれそうである。
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人口推計は国勢調査にあわせて5年に1度ほどの割合で公開される。経済指標や年金財政など、さまざまな分野のデータ算出に用いられる重要な指標。データ内容を見てみると、標準的な予想値である「中位推計」は2005年で1.26、その後上下しながら1.21程度にまで下がり、その後は2055年の1.26までにゆっくりと回復するという。楽観的な「高位推計」では1.55まで回復、悲観的な「低位推計」では1.06まで低下する。
ちなみに子どもは女性しか産めないため、単純計算で男女の人数が1対1で計算した場合、一夫一妻制の日本においては出生率が2を超えないと人口が減少することになる(1夫婦2人で2人のヒトが新たに増えるという計算)。「低位推計」では一世代ごとに人口が半減する計算。
総人口の推移
また、各年齢層とその人数で形成される人口ピラミッドも2055年には現在よりもさらにいびつな形となり、各種社会保障において若年層への負担が今まで以上に増えることが推測される。
2005年と2055年の人口ピラミッド。本来なら三角形・すり鉢型が望ましいのだが、現状以上に2055年にはいびつな形になっているのが分かる
現行の公的年金は出生率が1.39までに回復するという前回2002年の推計を元に設計されている。今回の推計で、前提となる出生率そのものが引き下げられたことにより、年金設計そのものも根本的な見直しが急務となりそうだ。
少子化加速の原因としては、結婚しない女性の増加、子育てに対する社会保障の整備不足、文化そのもの変化などが挙げられる。子どもを産み、育てるという生物としての社会行動への意識の変化は心理学的・文化人類学的な面からの考察が必要だろうが、前者二つの問題点については、早急に手を打つべきだろう。
一部で「人口が減ってもいいじゃんじゃないか」という論評も耳にするが、言語道断に他ならない。人口減少への方策の遅れは、少しずつだが、確実に影響を及ぼす。「人は国の力」「頭数を揃える」という言葉にもあるように、何はなくともまずは人間がいなければ何も出来ないのも事実。人口の減少はそれ自身による多方面への影響だけでなく、将来社会を担う世代のモチベーションの低下をももたらしかねない。
一方で人口政策はすぐには成果が出ないため、「選挙対策」としてはあまり好かれない傾向があるため、後回しにされ注力されない傾向があるのも事実。「百年の計」という言葉に従い、今から「為すべきことはすみやかに為すべし」だろう。
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