「国家の品格」「ハリー・ポッター」200万部突破・雑誌の売上減少は続き、出版物の販売は2年連続減少
2006年12月26日 09:30
出版業界の調査機関である【出版科学研究所】は12月25日、今年の出版物に関する統計を発表し、雑誌の売上が今年も減少して2年連続となったことを明らかにした。書籍そのものは販売実績を伸ばしたが、雑誌の売上減により出版物全体の売上も前年比マイナスとなった。
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今年もっとも発行部数が多かった書籍は、はやり言葉にもなった『国家の品格』で214万部。続いて「ハリー・ポッター」シリーズの最新作『ハリー・ポッターと謎のプリンス』が205万部を売り上げた。続いてリリー・フランキー氏の『東京タワー』が140万部とミリオンセラーの地位を確保している。また、松雄芭蕉の「奥の細道」の表記を実際に「鉛筆でなぞり書き」していくという新しいコンセプトの書籍として話題を呼んだ『えんぴつで奥の細道』も中高年齢層を中心に人気を集め、92万部を売り上げている。
このような書籍陣は新書の健闘作品が多く売上は前年を84億円上回ったものの、雑誌の売れ行きは昨年と比べると520億円以上減り、雑誌と書籍をあわせた出版物全体の売上は1兆9960億円あまりとなり、前年同期と比べて2.2%・437億円ほど減少している。
今回調査を行った出版科学研究所では、「実用的な知識を得られる新書やテレビなどで話題になった単行本が売り上げを伸ばすという傾向が続いている。一方で、雑誌については、インターネットなどの影響で若者が買わなくなっている。来年以降もこの傾向が続きそうだ」とコメントしている。
調査結果を見た限りでは、俗に言う「ライトノベル」に関する言及が無いのが気になるところだが、指摘にあるように雑誌の売上が全体的に落ち込んでいるのは否定しようのない事実であることは肌身を持って感じることができる。ネットの普及で情報の斬新さが失われたため雑誌が売れなくなったという指摘だが、その他にも雑誌そのものがつまらなくなってきている、趣味趣向が多様化・細分化され、これまでの雑誌の形態ではニーズにマッチしなくなりつつある、「雑誌に載っている程度の情報ならネットで十分」と考える人が増えてきているという理由もあるのだろう(新聞もまたしかり、というところか)。
今後雑誌の売上減少をとどめる、あるいは売上を伸ばすには現状をしっかりと把握し、何がもとめられているのかを適切に判断した上で企画を立ち上げるしかないだろう。一部では付録をつけて読者の注目を誘うという手法が流行っているが、これも一過性のものですぐに飽きられる傾向にある。もっと根本的な「何か」を提案しなければならないに違いない。
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(最終更新:2013/08/23)
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