「防衛庁」、来年1月から「防衛省」へ・参議院本会議で関連法案可決、成立
2006年12月16日 07:45
【防衛庁】を「省」へ昇格させることや自衛隊の海外派遣を本来任務化する、防衛庁施設法や自衛隊法など、防衛庁関連法案が12月15日の参議院本会議において、自民・公明・民主などの賛成多数で可決、成立した(反対は共産・社民)。この関連法の成立で、防衛庁は1954年7月(※)以来約半世紀を経て、2007年1月から「防衛省」に格上げされる。
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関連法では防衛庁を防衛省、防衛庁長官を防衛相と定め、これまで「付随的任務」としてきた「国連平和維持活動(PKO)」「周辺事態法に基づく後方地域支援」などの行為を本来任務に位置づけることになる(ちなみに「本来任務」とはその組織、この場合は防衛省・自衛隊、がその存在意義の一つとして常日頃行うべき任務のこと。「付随的任務」とは言葉どおり「ついでに」的な位置づけ)。
なお成立した関連法では、【防衛施設庁】を2007年度に廃止し、防衛省に統合することも付則で盛り込まれている。
これまで防衛庁は「庁」であるため【内閣府】の外局と位置付けられてきた。そのため、防衛庁長官は法案などを閣議の議題として提案することができず、内閣府の主任大臣である首相に任せなければならなかった。また、権限も自然と限定されたものになる。省に昇格すれば、外相、財務相など他の閣僚と同様に、防衛相はこうした権限を持つようになり、意思決定が迅速化できる。さらに予算のフレキシブル化や増強も期待できる。そして構成員らのモチベーションが高まるのはいうまでもない。
「専守防衛」を基本方針としてきた自衛隊が、海外派遣の本来任務化に伴い国際的な活動を増やしていくのは確実。「防衛省」化に伴い、「国際貢献」の機会が増えることも容易に考えられ、自衛隊の存在理由や装備などについて、今後論議が盛んになりそうだ。
ちなみに「防衛庁」から「防衛省」に格上げされても、「自衛隊」が「自衛軍」に名を変えるわけではないので、念のため。
※1954年:
1950年8月に総理府機関として警察予備隊が発足。1952年4月には海上保安庁の付属機関として海上警備隊が発足した。この後、1952年8月に総理府外局として保安庁が創設されて海上警備隊は保安庁警備隊に、10月には警察予備隊が保安庁保安隊に移行。さらに1954年7月には保安庁が防衛庁に改められている。
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