ジェネリック医薬品への「変更可処方せん」はわずかに11%・福岡県調査

2006年12月05日 08:00

お薬イメージ【薬事日報】によると【福岡県保健福祉部薬務課】はこのほど、福岡県下の病院を対象に実施した、ジェネリック医薬品の採用状況などに関する実態調査結果をまとめて公表した。その報告によれば2006年8月末時点での全採用医薬品に占めるジェネリック医薬品の割合は9.3%。前年同時期の8.4%と比べるとその増加率は1%にも満たないという。また、4月以降にジェネリック医薬品の処方を希望する患者が増えたと回答した施設も16.6%に留まり、ジェネリック医薬品の普及が立ち遅れているようすがうかがえる。

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福岡県内において、ジェネリック医薬品そのものを採用すると回答した施設は46.3%と半数近くにおよび、その理由には「患者の負担軽減につながる」が最も多い。逆に採用していない病院では「品質に信頼がおけない」を理由にあげている。

ジェネリック医薬品を患者が使うには、医者が「ジェネリック医薬品を選択してもよいですよ」という処方せんを交付し、その上で患者が選択をするというプロセスが必要。病院外の薬屋などで処方してもらうための院外処方せんについて、60.3%が交付し、42.8%がこの方式に賛成の意を表した。処方せんの変更可能欄のチェックについては「各医師の判断」が43.0%、「患者が求めた場合」が39.1%、「原則すべてにチェック」が10.2%と、肯定的な意見が増えている。

しかしその一方、実際に変更可能欄にチェックしたかどうかについてその割合を調べると、実際に交付したうち「後発医薬品へ変更可能」欄にチェックが行われたのは11.5%でしかないという。そして「その中で」変更した医薬品名の情報が薬局から医者・病院へフィードバックされたのは変更可能とした処方せんの9%に過ぎないという。

以上の調査結果から福岡県では、ジェネリック医薬品で患者と医者との間に多発している問題として

・薬剤費で価格的な割安感が少ない
・効果面の不安を取り除く説明に時間がかかる
・処方されたジェネリック医薬品が薬局に置かれていない


などの問題を指摘している。

ジェネリック医薬品における実際の効用の有無と程度に関する問題はさておくとしても、本来「安くこれまでの医薬品と同じ効果が得られる」と喧伝しているジェネリック医薬品の価格において「割安感が少ない」というのは問題だろう。さほど割安でないのに、効用面でリスキーだと思われているのなら、誰もジェネリック医薬品など使うはずもない。

また、これまでに何度か報じている中でも指摘されているが、ジェネリック医薬品を提供するメーカーの中には、サポート体制がしっかりしておらず、供給面で不安のあるところも多い。それが今回の調査結果の一つ「薬局で薬が無い」という結果をもたらしているのだろう。

今回の調査結果はあくまでも福岡県内に限ったものだが、他県でも同様の傾向が強いと思われる。ジェネリック医薬品の普及を促進したいと考えるのなら、関係各所はこれら現場データから指摘された問題点を改善する必要があるに違いない。

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