YouTubeブームで頭を抱える運営会社「utube.com」の中の人、ついに起訴へ

2006年11月03日 07:30

【Japan.internet.com】によると、動画投稿サイト【YouTube】と似たURLを持つ企業【Universal Tube & Rollform Equipment】が、YouTubeに対し損害を請求する訴えを起こしたという。

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Universal Tube & Rollform Equipmentイメージ
http://utube.comのURLを持つ
Universal Tube & Rollform Equipment社のサイト

記事によるとUniversal Tube社は元々チューブや輸送管などを販売する会社だったが、YouTubeのURLが自社サイトとの混同を招いていると主張。さらに自社サイトの訪問者数がこれまでの1500人/月から200万人/月へと激増し、サイトがまひ状態にあるとしている。

Universal Tube社ではこれをもって「膨大な支出が生じている。顧客との連絡が取れにくくなり、売上が減るのでは」とし、YouTube側に「Youtube.comドメインの使用停止」か「Universal Tubeが新しい企業イメージ・アイデンティティを構築するためのコストを負担しろ」と要求している。後者について「10年以上も前からブランディングしているのだから、再度構築するには数年かかるだろう」と述べている。

いかにも訴訟社会アメリカらしい話であり、「やれやれ」と肩をすくめざるを得ない内容といえよう。商号がまった同じな場合ならともかく、今件の場合は似通っているというだけに過ぎない。また、YouTube側が意図的にUniversal Tubeからの顧客誘導を図って、あるいは嫌がらせの目的でドメインを設定したわけではないのが明らかな以上、Universal Tubeには「ご愁傷様」という言葉をかけるべきではあるが、訴えるのはいかがなものかという感じがする。むしろ「これ幸いに金持ちになったYouTubeに難癖つけて『大金ゲットだぜ!』とでもするつもりか」と思われても仕方あるまい。

インターネットの世界では大規模なトラフィック(アクセス)を持つサイトのURLに近い、擬似URLを取得してタイプミスによるアクセスを狙うという、いわば「おこぼれ的な集客」を得るという手法が知られている。メーカー名や有名ブランドを用いたドメインが、その企業のものでなかったり、スペルミスや表記の違いなどと思われるURLによるサイトがある場合、それを狙っている場合も多い(「タイプイン」と呼ばれる手法だ)。

企業イメージを著しく損なうものについては企業などが取り消しを求める場合もあるが、たいていの場合はそのまま放置され、案の定タイプミスなどで誘導されることになる。スペルを打ち間違う可能性など1%にも満たないが、アクセスが膨大であれば確率は低くともアクセス数そのものは無視できない数になる。例えば月間42億ページ数表示というヤフージャパンのトップページの場合、その0.01%(1万分の1)が発音から「yahu.co.jp」と打ち間違えられたとしても、月間42万ページビューを得られることになる(ちなみにこのドメインは類似商号の問題からか一時的に凍結されている)。

既存のブランドを失ってしまうのは惜しいかもしれないが、Universal Tube社も頑なに反発(したりあるいはたかろうと)するのではなく、このトラフィックをうまく利用するという形でビジネスチャンスとしてとらえる考えはないのだろうか。自社で難しいのなら、希望する会社に投げても良いだろう。黙っていても月200万アクセスが得られ、ユーザー性向もある程度特定できるのだから、飛びつく企業も多いはずだ。

ともあれ、今後の動向が気になる話には違いないだろう。

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