ガンホー、元職員の『RO』通貨詐取に関し7486万円の損害賠償請求民事訴訟を決議
2006年11月07日 06:30
【ガンホー(3765)】は11月6日、同社が運営しているオンラインゲーム【ラグナロクオンライン】において、元職員の戸枝雅亮氏がサービスを悪用して社会的評価や企業評価を著しく低下させたなどとして、総額7486万円におよぶ損害賠償請求の民事訴訟を提起することを取締役会で決議したと発表した(【発表リリース、PDF】)。
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今件は【ガンホー(3765)、元職員による同社『ラグナロクオンライン』への不正アクセスを発表】でも報じたように、元職員が上司のアクセス権限を盗用した上でゲームサーバーに不正にアクセスを行ってゲーム内の仮想通貨を作り出し、それらを現実世界において売却。5800万円以上の売却益を得ていた(と今リリースでは発表されている)。今件は不正アクセス行為の禁止等に関する法律違反およびガンホー内のゲーム規約違反にあたる(前者については東京地検で10月24日、懲役1年執行猶予4年の有罪判決を受けている)。
ガンホー側では
元職員は、当社が多年にわたる運営の努力の末作り上げたオンラインゲームとその信用、評判、人気を悪用し、当社の社会的評価・企業評価を著しく低下させました。同時に、一連の行為は幅広いメディアにおいても報道されており、多方面へ重大な影響をきたしております。
とその影響を説明した上で、責任の所在の明確化と被害の回復を求めるべく、訴訟を提起したとしている。
気になるのが、今回リリースで発表された「5800万円の売却益」と「信用毀損および機会損失、その他諸費用の合計として約7486万円」という額。RMT(リアルマネートレード)業者に販売し得ていた売却益について、元職員の自己申告によれば「少なくとも1400万円」という額ではあったが、【ガンホーの『ラグナロクオンライン』での通貨不正作成で思うこと(1)】でも「自己申告額ではあまりにも過少すぎる。単純計算でも5400万円という値がでる」と再検証していた。今回ガンホー側はこれに近い「5800万円」と発表したわけで、今後この「売却益」の根拠について争われることになるだろう。
またこのような提起は(恐らく)過去に例をみないだけに、「信用毀損および機会損失、その他諸費用の合計」がどのような計算で算出されたのかも、今後の事例になりうるだけに気になるところだ。
今件は、
・通販サイトの商品引き換えポイント(例えば楽天市場の楽天ポイントやアマゾンのアマゾンポイント)のように直接「現実世界の現物」との交換をシステム提供側が保障したポイントではない
・あくまでも今回詐取されたのは、システム上ではゲーム内でのみ通用する「デジタルデータ」
・しかしゲーム管理会社の管轄外では現実の現金とのやり取りが活発に行われ、流動性は低いが準兌換性のあるものとして通用している。
などが「損害額」算定の際に論じられることだろう。特に一番目の要点につき、「直接的に現金・現物(及びそれらと直接交換しうるもの)を詐取されたわけではない」という部分が、提起内容としては異例なだけに、問題視されると思われる。
また、リリース上10月13日以降経過が報告されていないゲーム内のインフレ対策など(【関連情報発表ページ】)ゲームバランス調整についても、さらなる状況の改善とその報告を望みたいものだ。
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(最終更新:2013/08/25)
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