「証券税制の優遇措置打ち切りは貯蓄から投資への流れに逆行」五味金融庁長官強調
2006年11月28日 08:00
【ロイター通信】の報によると五味金融庁長官は11月27日の記者会見の中で、現行の証券税制を拡充・継続することの必要性を強調すると共に、証券税制の優遇措置については「貯蓄から投資への流れに逆行するものだ」として強く反対するとの意思を表明した。
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記事によると五味長官は記者会見の中で、総理の諮問機関である政府税制調査会が「証券軽減税率を廃止する方向」で議論していることに対し、「緒に就いたばかりの『貯蓄から投資へ』の流れを加速・定着させていく観点から、現行の軽減税率を拡充・継続することが必要だ」と強調。
さらに優遇措置撤廃による市場への悪影響に配慮して導入が検討されている対応策(激変緩和措置)について、具体的な内容は把握しないと前置きした上で「いずれにせよ税率が2007年末にただちに20%に戻ることには変わりがないようだ。そうなると、市場に対し、優遇措置の即時打ち切りというメッセージを発することになり、貯蓄から投資への流れに逆行する」と危惧。さらに「激変緩和措置は計算が複雑になるので投資家の理解も得られない」と、五味長官としてはあくまでも証券税制優遇措置の存続を求めていく考えを示した。
当方(不破)も(微小ながら)個人投資家の端くれであるからなのかもしれないが、五味金融庁長官の発言がきわめて正論に聞こえてしまうのは気のせいだろうか。「激変緩和措置」などは市場に混乱と衰退が生じた場合の責任回避論にしかすぎず、かつて特定口座制度を設けた前後に特別措置を乱発した結果生じた証券税制の大混乱を繰り返すだけとなるだろう。また、証券税制優遇措置の撤廃は国内だけでなく世界中の投資家に対し、日本への投資に対するネガティブなイメージをアピールすることに他ならない。
果たしてこれらのリスクとそのリスクが現実のものとなった場合の責任を承知した上で、証券税制優遇措置の撤廃を主張しているのか、政府税制調査会など撤廃賛成派の話を聴きたいところではある。
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(最終更新:2013/08/24)
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