「ぬれ煎餅」銚子電鉄に業務改善命令、経営難の原因を探る

2006年11月25日 23:59

銚子電鉄イメージ【関東運輸局】は11月24日、千葉県の【銚子鉄道】に対して、輸送の安全確保上問題があるとして、鉄道事業法第23条に基づき施設の改善と安全管理を徹底するように業務改善命令を出した(【発表リリース、PDF】)。鉄道会社に対し、鉄道事故や検査記録改ざんなどのケースをのぞき、一般業務における改善命令を出すのは今件が初めてとなる。

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銚子電鉄イメージリリースなどによると、調査の結果銚子鉄道では現在、

(1)踏切道の安全確保
列車が通過中であるにもかかわらず、踏切遮断機の遮断状態を解除していたことが確認
されたことから、必要な改善をすること。
(2)施設の総点検の実施、整備計画の策定及び改善
次のとおり、保守状態の不適切な施設が確認されたことから、施設の総点検を実施しその結果に基づき施設の整備計画を立てるとともに必要な改善をすること。
①まくら木の腐食、折損及び路盤内への沈下等が各所に見られ、道床の一部が減損している箇所がある。
② 踏切保安装置(せん光灯、クロスマーク及び送着電線等)の脱落及び腐食が多数見られる。
など、その他、保守状態の不適切な施設が多数ある。


などの問題点があるとした。関東運輸局ではこれらについて総点検の上改善をし、さらに社員の教育の徹底などを行い安全管理体制を確立して2か月以内にその旨を報告するよう銚子鉄道に命じた。

銚子鉄道では問題のあった遮断機(踏み切り)については11月24日に改修をしたが、そのほかの設備については今後対策会議を開いた上で善後策を考えたいとしている。また本日25日午前から、問題点が指摘された施設などについて総点検をはじめるとのこと。

NHKで今件が報じられた際には銚子電鉄の向後功作鉄道部次長がインタビューに応じ、「何が大事かを見つめ直して、鉄道の安全で持続的な運行のためにがんばって行きたい」とコメントしていた。とりあえず銚子電鉄側では問題の見つかった箇所は速度を落として運行を続けるとのことである。


「ぬれ煎餅」イメージ■整備不良の原因であろう、銚子鉄道の財政難の理由

すでに多数のサイトで報じられているように、銚子電鉄は現在経営難の状態にあり、車両の整備も予算不足でままならない状態であると告知している。そして収益向上のために副業として行っている「ぬれ煎餅」を買って支援してほしいと、公式サイト上で懇願しているという状況。

元々私鉄としては財政豊かというわけではなかった。しかし最大の原因は、1990年に経営権を取得した内山健治郎元社長が、自分の経営する内野屋工務店(1998年、781億円の負債を抱え込んで事実上倒産)の維持などのために、銚子電鉄の名義で「無断で」1億950万円ほどの借金を行い、その負担が大きくのしかかっているところにある。この借金は「自分の会社の経営状態が悪くなっており銀行の融資がおりないので、鉄道会社の信用を使えば金を引き出せるだろう」との目論見で行ったもの。銚子鉄道名義の借金はすべて着服し、個人の借金返済などに充てている。

なお内山元社長は2003年に解雇され、2006年8月には業務上横領などの疑いで逮捕されている(現在千葉地裁で係争中。起訴事実は認めている)。借金をした際には「別の会社を作って資本金を集め、アパート経営などをしたい」と話していた。

調べによると内山元社長は銚子鉄道の株式を買って社長に就任した直後から、自分の工務店に大量の仕事を発注させて駅舎の改修工事をさせたり、1億円以上もの横領をし、挙句の果てに工務店は破産、本人も自己破産認定を受けたたため、まさに「やり逃げ」状態にある。

現在の小川文雄社長は当時の専務で、自己資金で株式を買い取り、社長に就任して経営再建に当たっている。

鉄道とは何の関係もない工務店社長に株式を売り渡し経営権を握られ、いいように振り回された銚子鉄道側にも(当時の経営陣らによる管理体制などに)問題がないとはいえないが、半ば以上スットコドッコイな内山元社長による負担で四苦八苦している状況であることに違いはない。今回、業務改善命令を受けた理由も、ニュースなどでは言及されていないが「施設の更新や整備をしたいけど、予算がそこまで周らない」という事情があるだけに、複雑な思いでニュースを見ざるを得なかった(公式サイト上にも「弊社は現在非常に厳しい経営状態にあり、鉄道の安全確保対策に、日々困窮している状況です。年末を迎え、毎年度下期に行う鉄道車両の検査(法定検査)が、資金の不足により発注できない状況に陥っております。このままでは、元旦の輸送に支障をきたすばかりか、年明け早々に車両が不足し、現行ダイヤでの運行ができないことも予測されます」と記載されている)。

鉄道コレクション第一弾・銚子鉄道の車両「デハ301」「デハ501」イメージあの愛らしい車両たちが、スットコ元社長の乱行で見られなくなってしまうのは、非常に悲しい話だ。しかし当方としては食事制限などから、財務の支えになるであろう【ぬれ煎餅】【でんでん酒】も買うことができないのが残念。せいぜい頭を絞って、【トミーテック】の(現在は完売中の)【鉄道コレクション第一弾】に登場する銚子鉄道の車両「デハ301」「デハ501」に、新たに銚子鉄道の名物電気機関車「デキ3」を新たに加え、「ぬれ煎餅」とのセットで「銚子鉄道応援セット」などと称したセットを作るよう、トミーテック側に提案してはどうだろうか」という企画を考えるくらいである(何なら売上の一部を銚子鉄道側に……というプロモーション方法もある)。

先日東京秋葉原やネットでリサーチした限りでは、「鉄道コレクション第一弾」は元々生産数が少なかったことに加え、あまり販売されることのないミニタイプの車両が多く用意されていただけに、引く手あまたの状態にある。話題性もあわせニーズはあるに違いない。先行予約受付による完全受注販売とすれば、トミーテック側のリスクも少なくて済むと思われるのだが、どうだろう。

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