証券税制優遇措置、一部継続を政府が検討、日経報ず
2006年11月23日 10:00
【NIKKEI NeT】が11月22日報じたところによると、政府は2007年度に証券税制の軽減税率(証券税制優遇措置)が期限切れになるのにあわせて、株価の下落を防ぐ市場対策を検討に入ったという。個人投資家が2007年末までに購入した株式を対象に、2008年以降にそれらの株式を売却しても株式譲渡益(売却益、キャピタルゲイン)の一部に10%の軽減税率を継続して適用するのが柱とのこと。
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元記事によると、現行の証券税制優遇措置を全面廃止すると決定した場合、個人投資家らが保有株式を駆け込み売却し、需給の関係から株価全体が暴落する懸念があるため、優遇措置を部分的に残すというもの。2007年度における税制改正に盛り込む目論見。
2007年末には株式の譲渡益に関する優遇税制が期限切れとなり、現状の10%から20%に戻る。また、株式の配当についても2008年4月から現状の10%の措置が無くなり20%に差し戻されることになる。これは預貯金などと同じ率。2003年に日経平均が9000円台を割り込んでいた時期に、株価対策として導入された。
政府の税制調査会ではこの証券税制優遇措置は「役割を終えた」と判断し、2007年度の答申で廃止を打ち出すことになる。
これまでに何度となく報じてきたように証券税制の優遇措置については
●廃止派
・政府税制調査会……「代替案はあるかも。修正はしない」
・民主党……「格差是正のためいっそのこと30%にまで上げてもいいかも♪」
・財務省……「目的は達した」
●存続派、慎重派
・自民党税制調査会……「期限が来たからオシマイという単純なものではない」
・証券会社各社……「廃止されたら投資家が遠のいちゃう」
・日本証券業協会……「アンケートの結果、そんなことしたら個人投資家が逃げてしまうと判明」
・金融庁……「暫定措置といえども目的まで道は遠い」
・経団連……「長期保有の場合は継続すべきでは?」
・証券取引所……「ふいに金融庁から要請が来たので」
など、証券投資に関連する各サイドでさまざまな思惑も絡めて意見が真っ向から対立している。昨今の株価低迷、停滞がこの「証券税制優遇措置撤廃」の流れが大きく影響しているのではないかとする動きもあり、廃止派では早くも責任回避の予防線を張り始めた動きもある。
税率を2倍にすれば税収も2倍に増える、などと単純にことが運ぶ経済ならとうの昔に財政赤字など解消している。そうならないのが経済の難しいところであり面白いところでもある。専門家の方々はさまざまな知識と経験を持ち、そのあたりを十分に学んでいるはずなのだが。
ましてや個人消費が落ち込んでいるということが統計データから明らかになっている以上、十分以上の配慮がなされるべきだろう。例えば「月末終値ベースで日経平均2万円台が半年続いたら」などというような具体的目標値を掲げた上で、証券税制優遇措置撤廃を具体化すべきではないだろうか。
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