塩崎官房長官、証券優遇税制「市場への影響を考えて」
2006年11月23日 10:00
【ブルームバーグ】が報じたところによると塩崎恭久官房長官は11月22日、現在賛成派・反対派の間で激しい駆け引きが繰り広げられている証券税制優遇措置の見直しについて、「金融市場や海外投資家への影響を考慮に入れた議論が必要だ」との見解を明らかにすると共に、「軽減措置の段階的な廃止も選択肢の1つ」との認識を示した。
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これは22日の午前、尾身幸次財務相が「(廃止そのものには賛成だが)株式優遇税制を廃止した場合、株式市場への悪影響を考慮すべきだ」との見解を示したことを質問されて答えたもの。
塩崎官房長官は「証券税制の軽減税率を導入した経緯、貯蓄から投資へということで政府が取っている基本的な方針、さらに市場へのインパクト、また国際的な投資家へのインパクトを十分に考えていなければならない」と発言し、政府の方針や市場への影響、さらには国際的な投資家のマインドも考慮した上で証券税制の優遇措置の見直しを考える必要があるとした。さらに政府側としては専門家らの議論を引き続き注目し、「日本経済にとってよい結論が出るように期待したい」とクギを指した。
政府税制調査会ではすでに証券税制優遇措置を撤廃することで意見が一致しており、代替的な新しい措置を取り入れるのかなどの「事後策」の考察に移っている。一方反対派は主に「国内外の投資マインドが減退し、市場、果ては経済そのものが冷え込む」としている。
今回の官房長官の言にある「日本経済にとってよい結論」について、どのような仮説から導き出されるのかが説明されていないので気になるところ。「政府税調がこういう論理立てで『日本経済にとってよい結論がでる』と認識しているのだからそうなのだろう」という意味なら、政府税調=廃止論を容認したことになる。逆に「投資マインドが減退するのは日本経済にとってよい結論ではない」とすれば、廃止には慎重な意見となる。
どちらとも受け取れる発言なだけに、あるいは政府内でも「保険」をかけざるを得ないと認識しているのかもしれない。
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