政府税調は証券優遇税制の廃止を答申、日本証券業協会は延長を要望
2006年11月15日 06:30
【asahi.com】によると政府税制調査会は11月14日、「金持ち優遇」と世間一般に言われていると一部で報じられている証券税制への優遇措置について、2007年度の期限切れを持って廃止するようにと12月初めにまとめる2007年度税制改正答申に盛り込む方針であるとのこと。14日の議論ではほとんどの委員が廃止を求めた。
スポンサードリンク
証券優遇税制については各界から賛否両論の声が上がっているが、直接的に税収を上げられると見込んでいる【財務省】サイドからは「目的はすでに達したから元に戻すべき」という意見が強い。また、「現政権の政策失敗で格差が云々」を社是としているようなところからは「一般国民が多用する預貯金の利子税率は20%なのに富裕層の保有が多い株式に優遇措置がとられているのは金持ち優遇である」という、「どこからそんなことを言える根拠を持ち出したのよ」といった批判があるとのこと。
少なくとも【政府税制調査会】のメンバーリストを見る限り、「最初から廃止を決めて選んだのでは」と思われても仕方の無い人選で、色々な意図が読み取れよう。
これに関連し、【日本証券業協会】の安東俊夫会長は記者会見の中で、優遇措置の継続を求めていく考えを改めて示し、調査会の意見には反対する意向を表明している(【参考記事:NIKKEI NeT】)。
ともあれ、タイムリミットが迫る中、反対派・賛成派の自己主張はますます声高になることだけは間違いない。一部には代替税制を同時期に導入すべきだという折衷案も提示されているが、仮に優遇税制が廃止されれば少なくとも「個人投資家らの投資意欲は減退する」「売買が閑散化する」「直接金融が衰退しかねない」のは確かであり、一部の「不公平感が是正される」のはともかく、中長期的に見れば財務省サイドが望んでいた「税収アップ」は果たせないどころか経済そのものに大きなブレーキをかけることにすらなりそうだ。
実質的に数字がどうとかいう影響よりも、投資家に与える心理的影響が大きいのが最大のポイント。心理的にネガティブな影響があれば、それは投資行動に反映され、結局のところ実際の投資活動の衰退化を導いてしまうことになる。機械による計算式だけで取引が行われているのではなく、投資家一人一人の「思惑」で投資が行われている以上、心理的な影響を無視するのはあまりにも危険だ。
症状が安定しこれから回復に向かうかも、という病人にいきなり上半身裸で寒風摩擦をさせるように強いるのに等しい証券優遇税制の廃止。今後も色々な思惑の勢力による意見が交わされることだろう。
■関連記事:
【山本金融相、証券税制優遇措置「絶対無くさないように」と発言、存続を訴える】
(最終更新:2013/08/25)
スポンサードリンク
ツイート