恐竜の進化のように……村上ファンド、近く解散との告知
2006年11月07日 19:30
[このページ(nhk.or.jp)は掲載が終了しています]などが報じたところによると、インサイダー取引事件で村上世彰元代表が起訴された「村上ファンド」では、保有する株式の売却がスムースに行き投資家へ資金を返還するめどがついたとし、資金運用をしていた個別のファンドを精算、7年あまりの歴史に幕を閉じ、事実上解散することが明らかになった。村上元代表が関係者にあてた手紙で明らかにした。
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村上ファンドは単一のファンド会社ではなく、資金運用を行う複数のファンドによる集合体のようなものだが、インサイダー取引事件で元代表がお縄になった後は、投資家たちが資金を引き上げる動きが相次いでいた。これはイメージダウンというだけでなく、村上氏の手腕が発揮されなくなり、利益率も下がるのではないかという懸念もある。
資金を引き上げる投資家に対応するため、村上ファンドでは保有株式の売却を続けていたが、今回返せるだけの資金が調達できたため、個別のファンドを精算。村上ファンドは事実上解散する見通しとなったという。
村上ファンドといえば最近では阪神電鉄や【大証(8697)】などの株式を買い占めて意見を放ち、企業価値を高めた上で売却するという「物言う株主」を標榜。その一方、優良資産を持ちながら株価が安い銘柄に目をつけて資産を吐き出させ、成長を求めると言いつつ短期売り抜ける乗っ取り屋、あるいは会社転がしという批判も絶えることは無かった。
村上氏のファンド立ち上げから資産の運用、「物言う株主」としての行動の遍歴を見てみると、1999年にファンドを立ち上げてからは正当な株主の権利を主張するという観点で「企業価値を高める正統派ファンド」と称してもおかしくない動きをしていたように見える。しかし2002年の【東京スタイル(8112)】の攻防戦で、正攻法を用いて事実上破れてからは、「株数を多数握ることこそが力でそれがすべてだ、それさえあれば自分のビジネスがうまくなりたつ」という、パワー第一主義的・株数至上主義的な傾向が強まり、それが次第に「株を集められるのなら……」という、正攻法以外の手法を好んでとるようになったようにも見受けられる。
しかも「成功すればするほどより大きなものに手を出して強引な手法をとる」という、加速度的に突き進んでいるようすが、2005年以降の動向を見ると明らかになる。ちょうど当サイトがオープンしたあたりからヒートアップした形だ。
あるいは村上氏とそのファンドも、かつて恐竜が「進化」と呼ばれる巨大化が進みすぎて滅びてしまったように※、選択肢を選びそこなったせいで巨大化できたものの、後戻りできない道を歩んでしまったのかもしれない。
※「かつて恐竜が「進化」と呼ばれる……」:恐竜の絶滅の原因は諸説ありますが、ここでは「巨大化してその環境に適応しすぎたため、ちょっとした変化に対応できなくなったため」という説によるものとします
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