エイズ治療に光明、HIVを減らす遺伝子治療で良好な成績

2006年11月08日 06:30

時節イメージ【ロイター通信】が報じたところによると、ペンシルバニア大学の医学チームが11月6日、エイズウイルス(HIV)の増殖を妨害するウイルスを作り出して患者に注入、体内のHIVを減らす実験に成功したと発表した。

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今回の実験では5人の患者に対して治療実験を行っている。アメリカ・メリーランド州にあるベンチャー企業のVIRxSYS(バークシス)社が開発した治療用ウイルス「VRX496」を投与した。これにはHIVから病原性につながる遺伝子を削除し、代わりにHIVのたんぱく質合成を邪魔する「antisense」という遺伝子が組み込まれている。要は「悪性・HIVの増殖要素を取り除いたウイルス」だ。

つまり今治療ではHIVそのものをやっつけるというのではなく、HIVの悪性部分を取り除いたウィルスがHIVにとって代わるような仕組みを持つものを増殖させようという考え方のようだ。たとえが飛躍しすぎかもしれないが、ネズミ退治にネズミを直接やっつけるのではなく、ネズミがいやがるネコを野に放つというところだろうか。

医学研究チームでは患者5人(他の抗ウイルス薬治療に失敗している)からHIVの標的になる免疫細胞「CD4」を取り出してVRX496を感染させ増殖。しかる後に各自の体内に戻して様子を観察。結果、5人中4人までが1年後の時点でCD4の数が増え、さらに3人ではHIVが減少するという結果が得られた。

今回の実験はあくまでVRX496の安全性を確かめるものであり、実際検証開始から3年経過しても今のところ患者らに何の影響も現れていないという。研究チームでは「もうしばらく様子をみる必要がある。また、このVRX496が果たして免疫力を回復させる原因となったのかどうかは確定できていない。今後より多くの治験者が必要になることだろう」とコメントしている。

人体を対象にした実験である以上、十分以上の注意深さが必要になるし、時間も相当かかるのは仕方が無い。しかしHIV関係者にとっては希望の光が見えてきたのもまた事実。今後研究成果に関する進捗情報を待ち望みたいところだ。

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