動画投稿サイトで「テレビ映像無くなれば利用減る」が6割、日経調査

2006年11月23日 10:00

【NIKKEI NeT】によるとインターネットユーザーを対象にした調査で、【YouTube】などの動画投稿サイトを使ったことのある人は49.7%と普及が進んでいる半面、テレビ映像や音楽ビデオ映像など「著作権者の許諾なしに投稿されたコンテンツがなければ利用頻度が落ちる」と答えた人が6割にも及ぶことが明らかになった。動画投稿サイトの魅力と問題点がかいまみれる興味深いリサーチ結果といえよう。

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この調査は11月2日から7日、16歳から69歳の男女2477人に対してネット上で回答したもの。10代が14%、20代が16.4%、30代が19.7%、40代が19.7%、50代以上が30.2%と、40代以上で約半数を占める調査域での結果となる点に注意。

投稿をせずに閲覧だけの場合も含めた「動画投稿サイトを利用したことがある」とする人は49.7%と半数近くをしめ、普及が進んでいることがうかがえる。もっともこれは、直接動画投稿サイトへのアクセスというよりは、YouTubeに代表されるように「投稿動画をブログパーツとして提供する仕組み」を用い、一般サイトでそれらの動画が閲覧できるようにした記事上で見たものが多数を占めると思われる。年齢送別の利用率は若いほど割合が高いが、50代以上ですら32.3%が利用経験があるとしており、年齢を問わない動画投稿サイトの広がりが見て取れる。

利用する動画投稿サイトは「YouTube」がもっとも多く63.4%。Yahoo!Videoがそれに続き27.5%、GoogleVideoが15.4%となっている。他にも日本国内では多数の会社が独自の規格で動画投稿サイトを運営しているがいずれも数%に留まり、IT企業・事業における「トップ2までで業界・セクターの大多数を独占する」状況がここでも明らかになっている。

動画投稿サイトの魅力をあげてもらうと、

「話題性の高い映像を一覧できるから」……45.9%
「見逃したテレビ番組などを見ることができるから」……39.4%
「マスコミなどで見ることのできない希少映像があるから」……36.6%


などが上位を占め、「他人との情報共有を求めて」「既存メディアが対応していない機能、あるいはメディアが報じない情報への欲求」という大きく二つの点で、動画投稿サイトがユーザーのニーズを満たしていることがうかがえる。

コンテンツ内容についてはエンターテインメント系のものが圧倒的に人気が高く、その一方でプロの画像が大いに求められていることから「既存メディアで理由通しているコンテンツを動画投稿サイトで視聴している」ことが分かった。これらの動画は少なからぬ部分が著作権上問題のあるものだが、それについて「著作権侵害のテレビ番組や音楽ビデオ映像がまったく掲載されなくなった場合でも利用を続けるか」とたずねたところ、利用頻度が何らかの形で落ちると回答した人が6割に達するという結果が出ている。今までと同じ頻度とする人は33.1%だった。


「著作権侵害のテレビ番組や音楽ビデオ映像がまったく掲載されなくなった場合でも利用を続けるか」

それでは著作権上問題のあるコンテンツについて、投稿の是非などはどのような認識があるのか。投稿すべきかどうかという問いには、「すべきでない」とする人が「してもよい」とする人を大きく上回っている。ただし「無断使用著作物でもオリジナル性があればかまわない」「どちらともいえない」とする人も多く、世の中の意見としては統一見解に達するにはほど遠く、さまざまな意見が交わされているカオスな状況にあることが分かる。


「著作権侵害の映像の投稿の是非について」

ただしこれが「著作権上問題のある投稿動画を閲覧する」という観点になると、「見るだけなら問題なし」とする意見がやや優勢なようにも見受けられる。


「著作権侵害の映像の閲覧の是非について」

先日【JASRAC、YouTubeに「匿名性排除」「掲載事前審査」を要請へ】にもあるように、日本の著作権団体などがYouTubeに対して3万件もの投稿動画が問題ありと指摘し、一斉に削除するという出来事があった。海外は事後削除、日本は事前検閲削除というように投稿スタイルが大きく異なるが、動画投稿サイトの運営スタイルをどうすべきかという問いについての問いには意見が分かれているものの、「著作権を守るべきだ」という点では大勢が同意しているようである。また、4割近くの「著作権者と交渉し投稿できるような方法を探る」という意見にもあるように、「投稿者と著作権者、閲覧者すべてが納得のいく新しい方法を求めている」という、ポジティブな傾向も見えてくる。


「動画投稿サイトの運営スタイルをどうすべきか」

気になる動画投稿サイトの、自発的投稿傾向やビジネス的展開の可能性については、詳細は元記事で確認してほしいが、「自ら投稿する人はまだ少ないが『他人に自分の作品を見てほしい』『自分のオススメを他人にも推薦し、共感を得たい』という考えの人が多い」「宣伝効果は高い。動画がきっかけで商品を買ったりサイトを確認することがある」ということが統計データから分かる。

著作権のチェック体制がらみでは今後の技術の進歩に期待するしかないが、動画投稿サイトは「国境を飛び越えて動画というきわめてインパクトの高い情報」を「タグパーツというお気軽な方法でバイラルマーケティング的に広めることができる」という、さまざまな可能性を秘めている。妙な利権争いや目先の利益にこだわり、自らの足かせを強化し、気がつけばすべてのコントロールを海外に奪われていたという情けないことがないよう、日本の関連団体にも「努力」をしてほしいものである。


■関連記事:
【「共存を」40.40%、「閲覧するだけなら抵抗感ナシ」45.14%~動画投稿サイトの意識調査結果】


(最終更新:2013/08/24)

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