日立製作所(6501)、「考えるだけで鉄道模型をコントロール」実験に成功

2006年11月07日 12:30

時節イメージ【日立製作所(6501)】は11月6日、頭の中で安産などをするだけで鉄道模型のコントロール(駆動と停止)を行う実験に成功したと発表した(【発表リリース】)。脳が活性化すると変化する血液量を測定できる帽子型の特殊装置(光トポグラフィを用いたブレイン・マシン・インタフェース装置)を利用している。この原理を活用すれば、難病などで身体に不自由を感じている人でも念じるだけで家電機器のスイッチのオンオフなどのコントロールが可能になる。

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この装置は、人間の脳が活発に動いているときには血流量も増える性質を利用。あらかじめ血流量の変化と当事者の思考との関連をデータ化しておき、そのデータに基づいてスイッチがオンオフできるようにパターン化する。その上で、スイッチと鉄道模型を連動させ、模型を走らせたいときにはスイッチがオンになるよう頭の中で計算を繰り返して血流を増やし、止めたいときにはリラックスをして血流を減らす。その動きを感じ取ったセンサーが実際にスイッチの切り替えをして、鉄道模型をコントロールしたという。

脳の血流量を計測してデータ化する方法である脳機能計測法こと「光トポグラフィ」は、日立が開発した、近赤外光を頭皮上から照射して脳活動に伴う局所的な脳血液量の変化を画像化できる技術。実際に電極などを埋め込むことなく、専用の防止をかぶるだけで脳活動の状況を測定できるという優れもの。

心語り
光トポグラフィを用いた
「心語り」。
考えるだけで
Yes/Noの意思表示ができる。
現在正解率は80%

日立はすでにこの原理を用いてさまざまなサービスや商品を提案している。例えば【バンナム(7832)、日立(6501)とエンタメ分野で協力関係強化】にあるように、【バンダイナムコホールディングス(7832)】のアトラクション「ナムコ・ナンジャタウン」内で利用されている。また、日立内部でも身動きが取れない患者の意思疎通をYes/No形式で判別するための【心語り】という測定器を製作・販売している。そして今後福祉機器向けの技術開発や、脳機能のリハビリの研究に道を開くものとしても期待が寄せられている。

現在は血流が活発かそうでないかという、いわばデジタルな「0と1」のみの判断しか出来ない今装置ではあるが、元々インターネットをはじめとするデジタル情報はすべて「0と1」から成り立つことを考えると、将来さまざまな応用が考えられる。

もちろん多数の情報を伝えるために「0と1」を何度と無く装置を通じて伝えるのは(コードを覚えることも合わせて)治験者への負担が大きくなる。例えば「0と1」を5パターン繰り返して一つのキーワードを認識させるとなれば、32パターンの意志を相手に伝えることができる計算になるが、治験者はそのパターンすべてを覚えていなければならない(お分かりの人もいるだろうが、二進数の考え方である)。

このことを考慮すると、実際にはアナログ化への道を模索する必要もあるだろう。また、治験者による個人差もあるため、すばやく初期のデータパターンを習得し判別できるシステムの構築も必要になる。

とはいえ、この方面の今後の技術展開に光が見えてきたのは事実である。電極などを体内に刺すという負担をかけなくてもよい点も評価すべきだろう。今後日立製作所のこの方面における技術開発の進展に、大いに期待したいところだ。


(最終更新:2013/08/25)

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