セガ(6460)、下請け業者に「部品値下げしたから過去の分も値下げしろ」と請求、公取委から是正勧告
2006年11月16日 06:30
【公正取引委員会】は11月15日、【セガ(6460)】に対し、下請け業者に業者側の責に帰すべき理由が無いのに契約代金よりも2171万9096円少なく支払っていたことが分かり、これが「下請代金支払遅延等防止法」に違反するとし、今後このような行為を行わないよう勧告した(発表リリース、PDF)。なおセガ側ではすでに6月9日、下請け業者に対し減額分を返還している。
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リリースによるとセガは業務用ゲーム機の部品の製造や組み立て業務を東京や神奈川にある15の下請け業者に委託。2005年2月までは契約に従って代金を支払っていた。しかしその後部品台などの代金を値下げした際、その価格で過去の代金もさかのぼって計算しなおし、その減額分を差し引きして本来支払うべき代金よりも2171万9096円少なく業者側に支払っていた。
セガでは「単価引き下げの合意日前に発注した一部の製品に対してまで新単価を遡って適用した」「お取引先の了解の下に」と説明しているが、公正取引委員会ではこれを、「いったん契約した下請け代金をあとになって減らした」とし、下請け代金の支払いなどについて定めた法律「下請代金支払遅延等防止法」に抵触するとして今回の勧告を行うことになった。
セガでは今件について【リリース(PDF)】を出しており、それによると「親事業者たる地位を不当に利用してなされたものではないと弊社では認識しております」とした上で「この是正勧告を真摯に受け止め、関係部署に対して下請法の周知徹底、社内体制の整備等の再発防止及び法令遵守の更なる徹底を図ってまいる所存」とコメントしている。
今件は例えるなら「ガソリンの価格が1リットル当たり10円値上げしたので、あなたが今までこのスタンドで入れたガソリン1000リットル分についても値上げ分、計1万円を徴収しますね」というようなもの。
契約の段階で決められた金額を、その後の情勢の変化で価格を変更することは通常認められないが、両者の同意があれば不可能ではない。しかし両者間の立場次第では強引にこのような取引を強いる可能性もあり、受ける側は不利益をこうむってしまう(例えば仕事を終えてから「やっぱり仕事料半分ね」といわれるもの)。それは商取引としては健全ではなく、「下請代金支払遅延等防止法」などの法律が禁止している。
セガ側では「お取引先の了解の下」としているが、そのお客様サイド15社の本音を聞かなければ実のところは分からない。交渉術、商取引の常と割り切る人もいるかもしれないが、あまりにあこぎなことは単に利益がどうとか採算性がこうとかいう以前に、やってよいことかどうかをまさに言葉どおり「真摯に受け止め」判断すべきだろう。
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