【更新】「上場企業の重大発表は午後3時以降」というルールは無い!? 実は「慣習」に過ぎなかった「時間制限」
2006年11月14日 07:30
夜間取引の普及など、上場企業が株価に影響を与えうる重大発表のタイミングについて気になる条件が増えてきた今日この頃、実は「上場企業はよほどのことがない限り重大発表は市場が閉まる午後3時以降でないと行わない」「市場の開催中には重大発表は行わない」という「決まり」が、単なる慣習に過ぎずどこにも明文化されていないことが【J-CAST】の指摘で明らかになった。
スポンサードリンク
【東京証券取引所】でも11月から毎月一回定例で行っている社長の記者会見を、これまでの午後3時半から午後2時に始めることになる。いわく、「東証として、上場企業に重要な情報が発生した場合、なるべく早く、立会い時間中であっても開示すべきだと言っている。上場企業にお願いする以上は、具体的な態度で示そうということで、午後2時からに決めた」(西室泰三社長)とのこと。
すでに東証では企業の経営に関わる、株価に影響があるような重要事項が生じた場合には投資家にすみやかに知らせるべく、たとえ「立会時間中でも」情報開示を行うよう上場企業に求めてきた。公式サイトに情報を掲載すればそれで「情報開示をした」ということにするのはあまりにも安易ではないかという意見はともかくとして、実際に東証の公式サイトでは休日夜間を問わず、24時間365日休むことなく発表する体制がとられている。例えば先日13日にも、夜の10時過ぎになって【YOZAN(6830)】が[主要株主及び主要株主である筆頭株主の異動に関するお知らせ(PDF)]というタイトルで、株式の譲渡により筆頭株主が投資事業組合から同社代表取締役会長の高取直氏に代わる旨を公表している。
東証の西室社長によると、これまでの半世紀ほどの間に東証に上場している会社にとっては、「重要事項の発表というのは、立会いが終わってから、つまり午後3時を過ぎないと発表しないという習慣が、根付いてしまっているようだ」とのこと。つまり東証自ら「立会い中には発表しない? そんなのどこにも決まりにないよ」と証明したわけだ。
これは単に上場企業の重要事項発表に留まらず、関連団体の定例会見にも当てはまるという。さらに大きな、特にマイナスの要素が強いものほど株価への影響を考慮して週末金曜日の後場終了以降に発表するのが常識になっているという。これについて【トヨタ自動車(7203)】の奥田碩相談役や【キヤノン(7751)】の御手洗冨士夫会長ですら「重要事項は後場が閉まった後にするものでは」と答え、本当の意味での「情報の適時開示」の意味を理解しておらず、東証の西室社長はショックを受けたという。
最近では株価に影響を与えうる大きな情報の開示でも場中に行ったり、「週末金曜日の後場終了後」(場が開ける月曜の午前までの間に、土曜日と日曜日の二日間の時間が取れるので、「さまざまな手を」打てるし、心理的影響も少なくなる)という「お約束ごと」を気にしないところが増えている。東証が現在進めている海外証券取引所との提携話が現実のものになれば、「影響に配慮する」という日本人らしい「報道規制は午後3時の区切り」は意味を薄くする。
また、最初にも触れたが夜間取引の浸透で、「場中に発表すると混乱するから」という配慮もあまり意味を成さなくなっている。平日ならば午後3時、場が引けた後に発表をしても、その日の夜間取引でその発表に応じた取引が行えるからだ。
ということであれば東証の意向どおり今後は、株主総会の同一日開催がある程度分散しつつあるのと同様に、「午後3時以降に横並び重要情報開示」というスタイルも姿を消すようになるのかもしれない。
もっとも投資家によっては「そんなことされたらずっと精神を張り詰めたまま、東証の開示情報サイトをみたりロイターのニュース速報にしがみついていなきゃならないじゃないか」という文句をいう人も出てくるかもしれない。まぁ元々「鉄火場」とまで表現される株式市場でのやり取りにおいて、気を抜くこと自体問題があるのだよ、「『急に重要情報が開示されたので』という言い訳は通用しない」と指摘されればそれまでなのだが(笑)。
スポンサードリンク
ツイート