日本国内のオンラインゲーム市場規模は1年で35%以上の伸び率
2006年11月24日 20:10
【矢野経済研究所】は11月21日、日本国内のオンラインゲーム市場に関する調査を実施し、2010年度までの市場動向の分析と予想を行った。それによると2006年度における1年間の成長率はパソコン・家庭用ゲーム機向けタイトル共に約35%もの伸びを示していることが明らかになった(【発表リリース、PDF】)。
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調査は開発・販売メーカー(70社)やネットユーザー(1203人)を対象に行ったもので、調査期間は2006年7月から9月。2006年度におけるパソコン向け・家庭用据え置き型ゲーム機のオンラインゲーム市場はそれぞれ653億1000万円・344億円となり、前年比で各135.3%・135.0%を占めるようになった。なお今回の調査ではニンテンドーDSやプレイステーションポータブルなどの携帯型ゲーム機に関する調査は行っていないとのこと。
特にパソコン向け市場では定額課金型以上にアイテム課金採用型(他との併用パターン含む)のサービスが増加傾向にある。06年度における売上高は「定額課金型」が331億7000万円/前年度比117.2%なのに対し、「アイテム課金採用型」は301億5000万円/前年度比171.2%と、後者の方が伸び率が高いのが分かる。
パソコン向けのネットワークゲームのソフト市場ではパッケージ販売タイプのソフト売り上げ規模が縮小する一方、ポータルサイト型のサービスが増加している。そのサービスの中でも、今後は「はじめの一歩のハードルが低く、ゲームへののめりこみ度に応じた課金が得られる」アイテム課金型が増えていくと思われる。2010年度にはソフトパッケージの売り上げが14億2000万円程度に縮小する(2006年度は19億9000万円)のに対し、定額課金型は396億6000万円、アイテム課金型は688億7000万円まで伸びると矢野経済研究所では推定している。
パソコン向けオンラインゲーム市場調査結果と予想(矢野経済研究所)
一方、家庭用ゲーム機向けのオンラインゲーム市場はパソコンのそれと比べればまだ黎明期に過ぎず、成長カーブは緩やかなものであると予想している。それでも2010年には839億7000万円にまで市場が拡大すると見ている。
パソコン向けオンラインゲーム市場調査結果と予想(矢野経済研究所)
同レポートではパソコンや携帯電話におけるオンラインゲームの魅力についての調査も行っており、それによると
・「短時間で遊べる」「すぐに遊べる」(利便性、手軽さ)
・「安上がりに遊べる」
・「コミュニケーション」
の三点が特に重要視されており、パソコンでは「安上がりに遊べる」、携帯電話では「短時間で遊べる」「すぐに遊べる」の点が優れていると考えている人が多いという結果が出た。また、「コミュニケーション」の点では両者とも提供機能にあまり満足していないようすがうかがえる。特に携帯電話ではキャリアの方針で、掲示板やチャットが設置できなかったり利用制限がきついなどからサービスそのものが少ないことも原因のようだ。
年末には三大大手家庭用ゲーム機の新世代機が出揃うわけだが、それらはすべて本格的なネットワーク機能を取り揃えている。それらが多数流通してソフトが採算面で供給しやすくなる地盤が形成されるにはもう少し時間がかかるが、それでも今後は今まで以上に家庭用ゲーム機においても、ネットワークゲームが普及することだろう。
そしてそれらには、パソコン向けネットゲームを見習う形で「はじめの一歩のハードルが低く、ゲームへののめりこみ度に応じた課金が得られる」アイテム課金型が多数登場するに違いない。また、携帯電話上のゲームとパソコンのネットゲームの中間に位置するような、「気軽に遊べて安上がり、そしてコミュニケーション機能も豊富に用意してある」ネットゲームが、Wiiやプレイステーション3、Xbox360に続々と登場することだろう。
どのようなソフトがメーカーから「提案」の形で発売、運営されるのか楽しみにしたいところだ。特にコミュニケーション機能の充実が、ポイントとなるに違いない。
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